2013 Fiscal Year Research-status Report
日本における「秩序違反行為法」構想ー社会安全リスクの管理法制のあり方
Project/Area Number |
25590009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
野口 貴公美 中央大学, 法学部, 教授 (40318598)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 秩序違反行為 / 安全・安心 / 警察行政 / 治安維持行政 / 出入国管理制度 / 死因究明制度 |
Research Abstract |
「秩序違反行為」という観念の法律学的な取扱いにつき、関連する諸学問・領域の研究書を検討。あわせて、日本の警察行政(治安維持行政を含む)の実務についての検討を行った。 個別行政分野の検討(出入国管理分野)。入管行政の問題点を検討する研究会(東京入国管理局主催)に(略2ヶ月に1回開催)参加し、そこでの議論を踏まえ、下記の問題点を明らかとした。a.違反者に対する退去強制手続が、難民認定申請手続と截然と分離をされていないこと、b.そのため、違反者が、違反状態を保持したままわが国に在留し、仮滞在の制度等を用いている状況もあること、c.違反者の取締体制(人員配置・人員育成等)に不足があると考えられること、d.専門的な取締部局・人員の確保策がうまく機能していないと考えられること。 個別行政分野の検討(犯罪取締及び死因究明分野)。わが国の死因究明制度についての問題点を検討する委員会に(略2ヶ月に1回開催)参加し、そこでの議論を踏まえ、下記の問題点を明らかとした。a.司法解剖制度と行政解剖制度が截然と分離されていないこと。b.本来、拡充されていなければならないはずの行政解剖制度につき、地方公共団体間でのばらつきが多く、統一的な業務執行体制が確保されていないと考えられること。c.解剖にあたる組織・機関の整備がまだ十分とはいえないこと。d.法制度上、「解剖」という行為の位置づけが曖昧であり、明確な位置づけがなされていないと考えられること。 成果として、a.過去に執筆した『安全・安心の行政法学』(2009、行政)の再検討、b.「警察・検察・防衛・外交関係の情報公開」『現代行政法講座第4巻』(2014、日本評論社)(分担執筆)、c.「判例ナビゲーション行政法」(2014、日本評論社)(分担執筆)、d.「事例別実務行政事件訴訟法」(2014、弘文堂)(出入国管理分野、風営法分野につき分担執筆)、等。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究実施計画のうち、(1)ないし(3)について、実務状況等の検討は進められたが、組織面・体制面からの検討は十分に進められなかった。 平成25年度の研究実施計画のうち、(4)日本の刑事法学、刑事政策学等の理論、実務の状況等について、計画に挙げた内容についての検討まで進むことは叶わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、上記に述べた平成25年度の研究実施計画のうち、研究が遅滞している点((1)ないし(3)について、組織面・体制面からの検討を進めていくこと、及び、(4)日本の刑事法学、刑事政策学等の理論、実務の状況等について)、の検討に入ると共に、平成25年度研究実施計画の内容についてより総合的な観点からの研究を深めていく。 続いて、平成26年度の研究実施計画に予定している内容についての研究に進んでいく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度研究計画のうち、(1)ないし(3)にあげた点の研究に時間がかかり、(1)ないし(4)の実務の調査を含めた調査活動に遅れが生じたため。 平成25年度計画において、研究遂行に遅れを生じている部分の解消に努める。具体的には、平成25年度分の研究の実施(研究費の消化)、そして平成26年度計画の実施(研究費の消化)へと、適切に研究費を使用していく。研究計画の進展によっては、1年の研究延長を申請する予定でいる。
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Research Products
(3 results)