2014 Fiscal Year Research-status Report
日本における「秩序違反行為法」構想ー社会安全リスクの管理法制のあり方
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25590009
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
野口 貴公美 中央大学, 法学部, 教授 (40318598)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 行政法 / 行政手法 / 安全・安心 / 社会安全 / 社会安全論 / リスク管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)危機管理学や災害工学、リスク学も含めた、「広義のリスク」にまつわる諸分野の様々な既存研究成果等を網羅的に検討した。この考察の結果、リスクを政策の対象として捉えた場合には、リスクの把握の仕方やその対応策(手法論)について、一定のモデル(危機管理から対策までの段階的なモデル)を抽出できるのではないか、また、この段階的なモデルを行政手法論の再構築に応用できるのではないかとの結論に行き着いた。 (2)続いて、上記のモデルを具体化するため、このモデルを法学(とりわけ、行政法学)的に応用する可能性について検討を進めた。この分析を行う前提的考察として、従来の行政法学(総論)の手法論の枠組みについての再検討を行った。この再検討の結果、行政行為を中心としてそれとの「距離感」において各手法を把握するというのが従来の総論の体系であること、また、従来の体系とは異なる、リスク管理・安全安心達成という観点からの行政手法論の体系構築に十分な可能性と有効性があると考えられることについて論証を試みた。 (3)検討の過程において、わが国における「社会安全論」の内容やその構成、議論状況に着目し、法学的な見地からの応用可能性を探る重要性を発見した。わが国における社会安全論は刑事法学の理論枠組みをベースにしている部分が少なからず見受けられること、他方で、この分野においてはリスク顕在化前(事前)の対策が有効であると考えられること、を踏まえ、行政手法の組み合わせ等による新たな「社会安全論」のあり方について検討を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、2カ年計画で平成26年度中に研究を終了させる予定であったが、年度末に補助事情期間延長願いを提出し、計画を27年度末までに延長していただくことにした。その理由は延長申請書に書いた通りであるが、大きく、学会開催校としての準備業務等と体調状の理由から、調査・検討・研究成果の取りまとめのための時間を思うように確保することができなかったことを理由とする。延長を認めて頂いた平成27年度中に、研究成果をとりまとめるよう研究を継続・遂行していく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記、研究実績の概要に書いた(1)(リスクの把握の仕方やその対応策(手法論)について)、及び(2)(モデルを法学(とりわけ、行政法学)的に応用する可能性)、については、各々まだ着想をとりまとめた段階であり、形としてまとめられていないので、これらの構想についてその成果を論文の形でまとめていくこととしたい。 また、上記研究実績概要の(3)については、まだ調査事項が残っている段階であると考えられるので、これら調査・検討を進めた上で、上記とあわせた形でとりまとめていくこととしたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度に研究遂行が遅れたことを原因とする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用分のうち、約50万円については、「社会安全論」の動向や現状の精査のための情報収集及び調査活動の費用(書籍、論文収集、資料収集等)に当てる予定である。 未使用分のうち、残額については、研究成果発表等のための諸費用(印刷費、郵送費、その他)に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)