2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25590012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
森田 章夫 法政大学, 法学部, 教授 (30239652)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際法 / 海洋法 / 軍備管理 |
Research Abstract |
武器貿易条約(Arms Trade Treaty:ATT)は、2012年12月6日、賛成169,反対1(北朝鮮)、棄権14(ブラジル、中国、エクアドル、エジプト、印、イラン、イスラエル、モーリシャス、ミャンマー、パキスタン、露、シリア、ウガンダ、ジンバブエ)の圧倒的賛成多数で採択された。2013年6月3日日本も、本条約に署名した。本研究の対象となる、海洋法上の側面については、国際法上の無害通航権を害しない形での条文が成立した。すなわち、以前の草案段階では、「通過と(船舶間)積替(Transit and Transshipment)」として、「いかなる当事国も、必要かつ可能な範囲で、自国の領域を通って通過または船舶間積み替えをする、本条約の適用を受ける通常兵器を規制するための、立法、行政その他の措置をとる。(筆者仮訳)」(第9条第1項)との条項を有していた。これに対して、条約では、同じ表題の下、「いかなる当事国も、必要かつ可能な範囲で、関連の国際法に従って、自国の領域を通って通過または船舶間積み替えをする、第2条1項の適用を受ける通常兵器を規制するための適当な措置をとる (Each State Party shall take appropriate measures to regulate, where necessary and feasible, the transit or trans-shipment under its jurisdiction of conventional arms covered under Article 2 (1) through its territory in accordance with relevant international law.)(筆者仮訳)」 (第9条)となった。このため、「関連の国際法に従って(in accordance with relevant international law)」 という、最後の修文により、従前の無害通航権は阻害されないことが確保されたと、一応は理解される。この背景には、日本も含めて、海洋先進国の主張を米国も認めたものと伝えられている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
武器貿易条約作成経緯に関して、日本の外務省との意見交換を十分行うことができた。直接関連のある論文やインターネットで公開されている各種情報の収集も進み、蓄積している。さらに、下記、「今後の研究の推進方策 等」で述べたように、領海内無害通航の解釈、他の条約との比較対象が今後の検討課題とすべきことも明確になり、関連する資料の収集にも取りかかっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
以下のような検討が重要と考えられる。例えば、(1)領海内無害通航に関する各国の解釈、特に、米国の解釈の検討、(2)積荷の内容を理由とした干渉制度の検討、が挙げられる。(1)に関しては、条文が、「関連の国際法に従って(in accordance with relevant international law)」 としているため、この文言が指すであろう無害通航権について、各国の解釈に相違がないかどうかが重要な問題となる。(2)については、例えば、戦時捕獲制度、海上奴隷取引の抑止、麻薬取締条約、国際組織犯罪防止条約人身取引議定書、米国により締結されたPSIに関する2国間条約、が挙げられる。
|
Research Products
(1 results)