2013 Fiscal Year Research-status Report
スマートフォンによる保護観察対象者に対するアフターケア体制の確立について研究
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25590014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小名木 明宏 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60274685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 刑罰論 / 刑事政策 / 社会復帰 / 犯罪予防 / 被害者保護 |
Research Abstract |
今年度は研究の初年度であるので、本研究テーマの概観、導入に重点を置いて、探索的研究スタイルを採り、広く知見を得た。 (1)ドイツ、スイス、オーストリアにおける実情 資料によりドイツ、スイス、オーストリアにおけるGPSによる位置情報管理の実施状況を検討した。ドイツにおいては、バイエルン州、バーデンヴュルテンベルク州、ヘッセン州において実施済み、オーストリアにおいては全土において実施済み、スイスでは新刑事訴訟法により実施済みである。 (2)島根あさひ社会復帰促進センターでの調査 島根あさひ社会復帰促進センターにおいて収容者の衣服に電子タグを着用させ、信号で居場所を確認するという管理方法が実施されており、この見返りに受刑者にかなりの移動の自由を認められ、収容者の自主性の促進に効果を上げている。この実際の運用を実地調査した。問題点として、個々の被収容者の位置を点として認識しているのではなく、各ブロックにおいて把握しているにすぎないということ、エラーがかなり出ること、とくに屋外作業においてはこれが著しいこと、被収容者によるいたずらが多いこと、が分かった。 (3)インタビュー調査 琉球大学の矢野教授に北欧諸国におけるGPSによる位置情報管理の実施状況について知見を得た。 (4)研究報告 本研究テーマとに関連する研究報告を2回行った。「刑罰論の展開」(2013年10月5日犯罪社会学会テーマセッション「社会における刑務所の意義とは」での報告者(北海学園大学)日本犯罪社会学会『第40回大会報告要旨集』48-50頁)と「ドイツにおける女子刑務所のあり方 -とくにバイエルン州での現状」(2013年12月1日「女子刑務所のありかたを考える国際セミナー」(立正大学))である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、GPS位置情報を用いた対象者の位置情報の特定に伴う法的な問題を検討するものであり、(1)海外での実施状況の検証、(2)国内での実施状況の検証、(3)技術的問題の分析、(4)その他に分類される。 (1)海外での実施状況の検証については、予算の関係上、2年目に集中的に行うものである。本年度については資料により問題点の抽出に集中し、2年目の実地視察時ために問題点を精錬し、おおむね順調に進展している。 (2)国内での実施状況の検証については、当初の計画とは実施予定が前後したものの、電子タグを用いた刑事施設の視察を実施し、おおむね順調に進展している。 (3)技術的問題の分析については、専ら2年目に先送りされており、遅れていると評価せざるを得ない。 (4)その他については、関連するテーマの研究報告が2回行われており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度を終えて、研究計画はやや遅れているが、本年度は海外視察、国内視察、技術関係者のインタビュー調査を実施する予定である。 (1)海外視察 GPSによる対象者の位置情報管理の実施状況をドイツとフィンランドについて実地調査する。視察に関しては現地研究者に連絡を取っており、現在は訪問時期の確定を待っている。 (2)国内視察 当初の予定では初年度に視察予定であった山口県美祢市にある美祢社会復帰促進センターを訪問し、電子タグの実施状況を視察し、初年度に視察した島根あさひ社会復帰促進センターとの比較を行う。 (3)携帯電話会社の技術部にインタビュー調査を行う。 (4)今年度も関連するテーマでの報告を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定では2年で2回海外視察を行うことになっていたが、これをまとめることで、効率的に視察するようしするため、海外視察の実施を2年目に繰越しした。また、そのための準備費用として、物品費も一部繰越している。さらに、人件費・謝金については演者の予定が合わず、繰り越した。 繰り越した66,0140円の旅費については次年度に海外旅費として使用する予定である。 物品費については、図書購入のため、納品にタイムラグが生じたため、年度内の予算執行ができなかったものであり、次年度中に予算執行できるものである。 人件費・謝金については次年度に予算執行する。
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