2014 Fiscal Year Annual Research Report
スマートフォンによる保護観察対象者に対するアフターケア体制の確立について研究
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25590014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小名木 明宏 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60274685)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 刑罰論 / 刑事政策 / 社会復帰 / 犯罪予防 / 被害者保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、保護観察対象者にスマートフォンを所持させて、発信する信号により電子的に監視するシステムを整備するとともに、保護司とのコミュニケーションの質の向上を図り、対象者の再犯の防止、円滑な社会復帰の促進というアフターケアを充実することに伴う法的な問題について検討した。 ①社会復帰促進センターにおける電子タグによる被収容者の位置情報の把握 島根あさひ社会復帰促進センターにおいては、被収容者の衣服に電子タグを着用させ、信号で居場所を確認するという管理方法が実施されており、この見返りに受刑者にかなりの移動の自由を認められ、収容者の自主性の促進に効果を上げていた。美祢社会復帰促進センターについても同様である。 ②国内研究者へのインタビュー調査と意見交換 刑事政策研究者に聞き取り調査および意見を求めた。更生保護法の遵守義務の限界、刑罰論との関係、社会復帰促進の理念と自由の拘束の在り方について有益な示唆を得た。 ③外国研究者へのインタビュー調査と意見交換 ドイツとフィンランドの研究者を訪問し、電子監視の実施情報について、およびそれに伴う法的な問題点の議論状況、さらに今後の展望についての貴重な意見を得た。両国においては、我が国と異なり、保安処分制度が法的に導入されており、電子監視の実施のための基盤が確立していることが着目された。 ④スマートフォンの技術に関する調査 アップル社のiPhoneについて、本人確認の技術を実験し、コミュニケーションの手段としてのスマートフォンの有用性を実証できた。
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Remarks |
日本犯罪社会学会「ドイツの状況:ドイツ連邦共和国における刑事施設内の母子施設」では、本件挑戦的萌芽研究と密接に関連する部分も扱っているため、科研費基盤研究A「犯罪者を親にもつ子どもへの支援に関する総合的研究」(代表:矢野恵美)と並んで、研究成果として記載した。
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