2015 Fiscal Year Annual Research Report
財の多様化と物権法の再構築――「財の法」の構築を目指して
Project/Area Number |
25590019
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉田 克己 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (20013021)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 財の法 / 財の多様化 / 帰属関係 / 所有権 / 身体 / 環境利益 / 負財 / 物のパブリシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度であり、研究活動をまとめる方向で理論的検討を行った。各論的論点についても研究活動を継続し、一定の論点について成果公表も行うことができた。 ①総論的検討では、広中外郭秩序論との関係における帰属関係論について、「広中俊雄の民法体系論」などいくつかの論稿を公表した。また、財の多様化と帰属関係の多様化について、さまざまな機会を捉えて、フランス民法学との理論的交流を行った(パリ第1大学ティリィ・ルヴェ教授、同レミィ・リプシャベール教授、パリ第13大学ムスタファ・メキ教授、エクス・マルセイユ大学マチルド・ブトネ教授など)。その結果、財の多様化については認識の一致を得られるものの、フランスにおいては帰属関係の多様化という発想に乏しいことを再確認することができた。それは、帰属関係の多様化という本研究の理論仮説の斬新性を改めて示すものと考えている。 ②各論的検討としては、とりわけ人口減少社会における土地所有権論に関していくつかの論稿を公表することができた。そこでは、土地所有権制限を正当化する外部性の理解を、人口減少社会を見据えたものに転換していく必要性を指摘した。また、関連して、人口減少社会における日本都市法の課題についても、論稿を執筆することができた(「都市型社会から人口減少社会へ--日本都市法の課題」未公刊)。 ③フランスとの理論交流では、日本都市法の特徴をフランスに発信する論稿をいくつか公表した。"L'environnement urbain et les outils contractuels"ほかの論稿である。さらに、身体論に関しても、フランスとの理論交流を行うことができた(トゥーロン大学フィリップ・ペドロ教授など)。これを通じて、前年度の論文「身体の法的地位」によって提示した理論枠組みが、フランスの理論状況との関係でも、斬新なものであることを再確認することができた。
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Research Products
(9 results)