2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25590033
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
唐 亮 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10257743)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナショナリズム / 官製愛国主義 / 歴史教育 / 過激なナショナリズム / リベラルなナショナリズム / 政府対応の在り方 / ナショナリズムの行動様式 / 対外政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014度の研究は収集と整理、中国の現地調査を中心に中国のナショナリズムに関する次のような分析作業を行った。 1)中国の大衆ナショナリズムは過激なナショナリズム、リベラルなナショナリズムの2種類がある。過激なナショナリズムが高まった背景は主として以下のようなものである。まず、中国は急速な発展を遂げる中で、人々は自国に対する自信を回復し、国際社会から承認を得ようとする願望が強い。次に、欧米諸国は中国の人権問題や民主化の遅れを厳しく批判しているほか、外交戦略において中国の台頭をけん制しようとしている。そうした外交政策への不満は過激な対外主張に繋がっている。最後に、中国社会は貧富格差や環境破壊の問題が深刻化であり、ナショナリズムの言動は社会不満のはけ口ともなる。リベラルなナショナリズムと自由化支持の主張は親近性にある。その主な担い手はリベラルな知識人、中間層である。彼らは普遍的な価値観を支持し、中国の立場を主張しつつも、対外融和路線を強調する。 2)先進国の大衆ナショナリズムは国家の外交能力や自信を背景として、その主な形式が国益支持の世論形成や対外主張の多様化を特徴とする。それと比べれば、途上国のナショナリズムの主な形式は過激な言動を特徴とする。中国は新興国として台頭し、外交能力に関する自信を深める中で、大衆ナショナリズムは途上国型の特徴を持ちつつ、先進国型への移行を開始した。 3)中国政府は大衆ナショナリズムに対し、複雑な対応を行ってきた。過激なナショナリズムの支持者は体制支持者が多く、リベラルなナショナリズムの支持者は現体制に対し批判的であり、また反体制活動家が多いために、官製メディアは過激なナショナリズムを是認するところも多い。他方、中国政府は対外政策の面においてリベラルなナショナリズムに近い。過激な排外事件は中国の対外イメージに打撃を与え、当局は抑制の方針を採る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つの問いに沿って研究作業を進め、研究はほぼ予定通りに進んでいる
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Strategy for Future Research Activity |
データ・資料の収集・分析を行い、年度内に最終成果をまとめる
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