2013 Fiscal Year Research-status Report
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25590043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
濱下 武志 龍谷大学, 仏教文化研究所, 研究員 (90126368)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海関 / 人事考課 / 華人海関員 / 洋人海関員 / 「国際情報交換」中国 / 「国際研究者交流」中国 / 「国際研究者交流」香港 / 海関総税務司 |
Research Abstract |
近代中国海関史研究は、現在第2段階に入ったとみなすことが出来る。第1段階では、海関が編集・整理・分類・刊行した、貿易統計と貿易報告を中心とした研究が行われてきた。貿易統計に関する研究は、早くは鄭友揆、湯象龍、Hsiao Liang-linなどがあり、またその後林満紅、William Kerby等によって進められ、近年の研究成果の代表として、Thomas P. Lyons, China Maritime Customs and China's Trade Statistics 1859-1948(Willow Creek of Trumansburg, New York, 2003)などがある。また、海関史研究としては、陳詩啓、戴一峰、濱下武志,Robert Gardella, 連心豪、岡本隆司などによって進められてきた。 10数年前から、海関資料の活用が、貿易報告と貿易統計に止まらず、日記や回顧録など人物史をめぐる関心も高まり、李愛麗、Vickers、Hansなどによる新たな海関人物資料研究が進められてきた。 本研究課題も、この間検討される事が少なかった海関資料の中で、人事考課に関する資料を検討することにより、海関制度の人的構成、移動や考課をめぐる人事管理と海関運営の関連についてなど、海関組織を人的な側面から検討し、それを通して海関人事の国際的な特徴を明らかにするという研究課題であり、第2段階の海関史研究の中に位置付けられる。 今年度は、九龍海関・広州海関・福州海関などにおいて、海関総税務司による人事政策に関する通達(通令)Circularから、海関分関における水夫の採用に関連する身元保証書(「保結程式」)まで、形式やレベルの異なる人事資料を調査・収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海関人事は、外国人を中心としたいわゆる高級海関員と、華人を中心としたその他に分類され、また、職能別には、統計処理、監査、海関管理全般、などの事務処理と、検査、徴税、港湾管理その他の現場の海関員工とに分類される。海関税務司に代表される高級海関員については、定期的に海関報告の中に、あるいは単独の人事報告として公刊されているが、いわゆる下級海関員については、すべての人名が印刷公表されているわけではない。とりわけ、現場海関員工に関する資料はこれまで公開される例が極めて少なかったのであるが、今回の調査においては、各海関洋員に関する資料収集に加え、海関華人員工に関する身元保証書に相当する「保結程式」を調査収集した。この書類は採用時の保証人の社会的地位や責任の度合いを示すことが明らかになると主に、4-6ヶ月に1度の頻度で、保証人の再確認が行われ、確認の度ごとに各関(各分関)税務司は署名裏書しているという厳密な管理が行われていることは注目に値する。
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Strategy for Future Research Activity |
海関人事資料については、以下の3つの異なるレベルが存在する。すなわち(1)海関総税務司による人事に関する通達・指示であり、これはCircular, Semi-circularとよばれる。これらは。基本的な人事制度ならびに人事管理、運用をめぐる内容である。いわば基本的な人事政策に関する指示である。そして(2)採用・移動・給与・昇級・栄誉・退職・福祉などに関する規定である。これらの資料は、総税務司からの指示によるものと、各海関現場から報告されるものの2種類がある。さらに、(3)各地の海関または分関によって採用される現場人事は、採用試験・身元保証書・家族調査などの資料であり、これらは公表されることは無い。次年度もこの3種類のレベルの異なる人事資料を調査収集する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度においては、前年度の調査を継続しつつ、前年度におこなった香港と広州の調査のほかに、上海海関資料の調査をおこなうほか、南京の第2歴史档案館における海関人事資料とりわけ採用原簿を閲覧する計画である。また、北京と広州に新設された海関博物館において海関総税務司ならびに海関税務司が指示した人事政策資料を調査・収集する。また、資料を蓄積するために、人名・出身国・赴任海関名・就任年限・移動・昇任などの情報につき、分類項目別にデータ入力する。 南京の第2歴史档案館・上海市における海関人事資料調査をおこない、複写あるいは撮影による資料収集をおこなう。それらの資料をデータ入力し、人事情報を分類し蓄積する。
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Research Products
(2 results)