2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25590049
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
加茂 知幸 京都産業大学, 経済学部, 教授 (20340432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長久 良一 関西大学, 経済学部, 教授 (30189154)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会選択理論 / 無差別推移性 / 厚生経済学 / 非循環性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は次の2つであった。(1)非循環的かつ無差別推移的な選好関係によって合理化可能な選択関数(以下、AC-IT選択関数と略記する)に対して公理的な特徴づけを与えること。(2)個人の知覚・認識の限界により無差別推移性が成立し得ない状況において、アロウ流選好集計ルールの性質を解明すること。本研究では、上記の2つの問題に対して、ほぼ完全な解答を与えることができた。 まず(1)については、「選択の再帰性」という新しい公理を導入することにより、AC-IT選択関数の公理的特徴づけを与えることに成功した。また、新公理「選択の再帰性」と従前よりよく知られている他の公理との論理関係も十分に検討した。さらに、AC-IT選択関数と2つの協力ゲーム解(狭義コアとフォンノイマン・モルゲンシュテルン安定集合)との関係を発見した。以上の結果は、論文"Acyclic Ratinal Choice with Indifference-Transitivity"として纏められ、米国ボストン市で開催された社会選択理論の国際学会にて発表された後、国際学術雑誌に投稿された。 次に(2)については、個人の知覚・認識の限界を厳密に分析するために、選択対象の集合に距離構造を導入したモデルを構築した。この設定において、アロウの不可能性定理が必ずしも成立しないことを示した。さらに、不可能性定理が成立するための十分条件を提示した。以上の結果は、論文"Arrovian Social Choice with Psychological Thresholds"として纏められ、米国ボストン市で開催された社会選択理論の国際学会、一橋大学および福山大学にて発表された後、国際学術雑誌に投稿された。
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