2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25590050
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
中田 啓之 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員(非常勤) (20645866)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 期待 / 空売り規制 / コーディネーション / 社会厚生 |
Outline of Annual Research Achievements |
金融から実体経済に加え、実体経済から金融への二つのフィードバックのメカニズムを解明するため、多様な期待を許容した不完備市場の一般均衡モデルを拡張し、生産活動を誘導形で組み込んだ動学モデルを2種類、構築した。一つは、Overlapping Generations (OLG)モデルであり、もう一つは、Infinite Horizonモデルである。双方のモデルとも、投資について社会的に最適水準の存在する設定にし、投資についてコーディネーションの問題がある形になっている。 OLGモデルについては、合理的期待の下でも均衡において、投資が社会的に最適な水準になることがないため、多様な期待によるコーディネーションへの影響を計測することに難があるが、Infinite Horizonモデルには、そのような問題はない。 OLGモデルのシミュレーションの結果としては、空売り規制が存在しない場合、期待の変動が大きいほど、価格変動がより大きくなるものの、GDPの平均水準については単調な関係は見られない。それに対して、空売り規制が存在するときは、より緩い規制のとき、GDPの平均水準が高くなるが、価格変動について単調な関係は、ない。しかし、規制が緩いほど、社会厚生水準が低下する。したがって、GDPと社会厚生水準との関係に乖離が見られる。これは、より厳しい空売り規制を導入することにより、極端なポートフォリオが組まれる可能性を排除することで、極端に悪い投資収益に苛まされるケースがなくなることによるものである。 Infinite horizonモデルについては、シミュレーションモデルを構築したが、現在、計算のアルゴリズムの詳細について確認作業を行っている。今後は、確認後、計算結果を蓄積し、OLGモデルの結果と対比していく方針である。
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