2013 Fiscal Year Research-status Report
リスク社会における国際都市間連携による物流・人流の推進と地域発展に関する経済分析
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25590059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
亀山 嘉大 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (30373210)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市間連携 / 物流 / 人流 / 地域発展 / 経済分析 |
Research Abstract |
本研究課題では、地方都市を調査・研究対象として、(国境を越えた)地方都市同士の連携によって地域活性化を図ることができるかどうかを理論的に考察し、その効果を実証的に解明していくことを目的としている。地方都市は人的資源や経営資源に限界を抱えており、解決策の1つとして、近隣都市との広域行政によって課題の解決に取り組んでいる。しかし、物流や観光のように近隣都市同士で貨物や旅客の取り合いになる場合、広域行政は機能しない。本研究では、空間的に離れた2つ以上の都市を対象に、(国境を越えた)地方都市同士の連携によって地域活性化を図ることができるかどうかを理論的に考察し、その効果を実証的に解明していく。 平成25年度は、物流や観光における都市間連携によって相互の地域活性化に繋げている事例の調査として、高知県をはじめとする国内の地方都市とともに、シンガポールの調査を行った。シンガポールは、(日本の地方都市と)相互の投資を推進していくことを目的に、日本の地方自治体との連携を模索している。高知県は柚子の輸出による産業振興と物流振興を進めているが、シンガポールを拠点とした柚子の輸出(製品化)に成功している。このことに関して、現地での受け入れ態勢や展開を調査した。また、高松市において、買物や観光のための消費行動にともなう域内と域外の交通手段や移動範囲などに関するアンケート調査を行った。さらに、国内の地方都市の調査では、東北被災地の調査(松島町)から、防災における都市間連携の意義が確認された。防災における都市間連携は、当初の想定になかった都市間連携の意義であり、引き続き追究していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、OECD(2006)、OECD(2009)、国土交通政策研究所(2010)にある欧州や東アジアにおける環境問題などへの国境を越えた国際協力や都市間連携の実態を参考に、さらなる文献調査も交えて、本研究の調査対象である物流や観光が環境問題などと比較して、どのような共通点があり、どのような差異があるのかを確認した。今後、経済学的な視点から、これらの知見をまとめていく予定である。 また、文献調査とあわせて、研究実績の概要でも述べたように、高知県や松島町はじめとする国内の地方都市やシンガポールといった都市間連携を推進している都市の調査も実施できており、これによって防災のような(当初の想定になかった)都市間連携の意義が見出せている。さらに、平成26年度にアンケート調査を予定していたが、今年度中に実施できた。一方で、計量経済分析に向けたモデルの構築で不十分な点があるため、この点を強化していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の本研究課題の推進方策は、第1に、これまでに実施してきた文献調査に基づき(物流や観光における)都市間連携の実態や意義を経済学的な視点から論文にまとめていく。第2に、当初の想定になかった防災における都市間連携の調査を推進し、その実態や意義を経済学的な視点から論文にまとめていく。第3に、高松市において実施した買物や観光のための消費行動にともなう域内と域外の交通手段や移動範囲などに関するアンケート調査を統計的に分析し、論文にまとめていく。これらの文献調査や現地調査(含むアンケート調査)に基づき、都市間連携に関して現実を踏まえた計量経済分析に向けたモデルの構築を行いたい。作成した論文は、順次、応用地域学会をはじめとする関連の学会や研究会で報告し、コメントを踏まえて研究成果をまとめていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年9月30日で香川大学を退職し、平成25年10月1日に佐賀大学に赴任したため、移動(異動)のための引っ越しにともなう負担、移動先での授業の準備などで、当初、想定していた調査・研究を(今年度に無理して)遂行するのではなく、次年度に余裕をもって遂行するために、次年度使用額を残した。 一方で、本来、次年度に予定していたアンケート調査を(部分的ではあるが)前倒しできたので、このアンケート調査を踏まえて、追加のアンケート調査や現地調査(旅費)として執行していく予定である。
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Research Products
(1 results)