2015 Fiscal Year Annual Research Report
水産資源の枯渇と再生:経験が生み出すローカルコミュニティの戦略分析
Project/Area Number |
25590063
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 健太 武蔵大学, 経済学部, 准教授 (30633474)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資源枯渇経験と選好 / 自主的資源管理 / 社会協力選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究実績は以下のとおりである。 (1)26年度までにデータの取得を終えていたフィリピン、インドネシアでの漁業者を対象とした経済実験・アンケート調査に関して、資源枯渇経験が社会協力選好に与える影響の計量分析を行った。結果についてはクリアーで、また経験の種類によって選好に与える影響が異なることが明らかとなった。例えば、過剰漁獲によって資源枯渇が起こったと認識している場合には社会協力選好が強まる一方、自然災害要因によって資源枯渇が起こったと認識している場合には社会協力選好が弱まることを明らかにした。 (2)本研究とは異なる研究目的で、資源管理制度の導入を自主的に意思決定できるかどうかについての、実験室実験(資源枯渇ゲーム)を行っていた。そこではいくつかのステージを設けて、制度がない状態でゲームを実施するステージ、制度がある上代でゲームを実施するステージを経てから、制度を選択できるステージを実施した。この際、最初の2つのステージでどのような要因(枯渇要因)でステージが終了したかのデータを取得することができたため、本研究課題の目的に沿った分析を行ったところ、制度を選択するかどうかの被験者の行動が枯渇要因によって変わってくることが明らかとなった。しかも、フィールド実験の分析結果(1)と整合的であることが分かった。 (3)(2)の結果については、すでにタスマニア大学経済学部のセミナーにて報告を行っている。また、(1)の結果については、本報告書には記載が間に合わなかったものの28年5月中にディスカッションペーパーとして発行する予定であり、また28年9月の環境経済政策学会で報告の予定である。さらに、(1)及び(2)の結果から得られる政策インプリケーションと理論的背景についてまとめた論文を28年6月中に出版の予定である。
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