2014 Fiscal Year Annual Research Report
個別化医療の時代に出現した新たな創薬ベンチャー・モデルに関する研究
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25590073
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西村 訓弘 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30402689)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 創薬 / ビジネスモデル / 台湾 / 英国 / 個別化医療 / 非営利団体 / 技術移転 / ベンチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は創薬分野に台頭しつつある非営利の新薬開発の実情を調査し、体系化を目指している。平成25年度は非営利団体による新薬開発(NPO創薬)の事例として英国Cancer Research UK(CRUK)を選定し、英国での調査研究を行った。CRUKは、寄付による税控除対象団体として認定されており、数百億円規模の寄付金を集め本格的な新薬開発を実施しており、開発費用を大幅に縮減することで個別化医療に伴い収益力が低下した大手製薬企業に新薬候補を提供する有力な開発者となっていることが判明した。また、CRUKでは開発医薬品の選択に社会的要求を優先しており、英国民にとって理想的な新薬開発が実現されていた。平成26年度は台湾の実情把握を中心に行い、仏教団体が設立した慈済基金会の事例分析を行った。慈済仏教基金会は寄付を基に大規模な6病院を保有し、総数7,200床の台湾第2位の医療組織を形成している。台湾では先進医療の進展と高齢化に伴う医療費の増加、国家財政の悪化から医療コスト削減への圧力が高まり、医療現場に歪が生じていた。慈済基金会は病院建設に寄付資金を活用し、運営補助でボランティアの支援を受ける以外は、基本的に他の病院と同じ仕組みで病院を運営している。慈済病院では「得られた利潤」を「患者への最適医療の提供」、「最先端医療機器の導入」、及び、「先端医療の研究」に積極的に投下することで、患者にとっての最適医療を実現している。このような環境を創り上げることで、慈済病院が、医師から最も就職したい病院として認識されている。台湾における慈済基金会の取組は、病院経営に「非営利(=寄付収入)」と「営利(=医療収入)」の異なる手法を融合させることが、「医療の質向上」につながることを示唆していた。
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Research Products
(1 results)