2014 Fiscal Year Annual Research Report
食を基軸とした観光振興と観光地ガバナンスに関する経営学的・人類学的研究
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25590077
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
出口 竜也 和歌山大学, 観光学部, 教授 (60237021)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食文化 / 観光振興 / 観光地 / ガバナンス / コンテンツ / ローカルメニュー |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、日本の多くの地域において「食」を基軸とした観光まちづくりを推進する動きが活発となっている。なぜなら、「食」は多くの人たちにとって人生の主要な関心事の一つであり、ご当地ならではの食材や料理(いわゆるローカルメニュー)の存在は、異なる日常空間での生活文化体験を求めて行われる「観光」行動において、きわめて魅力的なコンテンツであり、効果的な誘客とリピーターの確保が期待できると考えられているからである。また、「B-1グランプリ」、「食博」、「菓子博」などに代表されるような地域の食文化を紹介するイベントも多くの入場者を動員し、開催地域に一定の経済効果をもたらしている。 しかし、こうした取り組みは全国津々浦々において同じようなかたちで展開されていることから、よほどの独自性が食材や調理法に込められ、かつ味が良くなければ激しい地域間競争の中で埋没してしまうのが現状である。つまり、顧客にとって、そこに魅力的な独自性が存在しないと認識されてしまえば、わざわざ時間とお金とエネルギーを費やして足を運ぶことはないということである。 また、運営者側に視点を移すと、食を通じた観光振興を図るためには、当該地域に出かけて食べることができる食材やメニューを明確に示すだけでなく、地域の利害関係者間で意思疎通を図り、統一感を持ったプロモーションをかけるとともに、利害関係者間で当該地域で収穫されたもの、製造されたものを相互に買い支え合うシステムを構築することが重要である。さらには、「食」だけにとどまらず、当該地域における他の観光資源との有機的な連携を図り、それらをツアープログラム化することで、地域内でのキャッシュフローを加速度的に回していけるようにするためのシステムと、そのシステムをガバナンスするための機能の構築を行っていくことが重要である。
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