2014 Fiscal Year Research-status Report
非英語圏における日系企業駐在員のグローバルマネジメント能力養成と語学力
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25590078
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
源島 福己 長崎大学, 国際教育リエゾン機構, 教授 (50646784)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グローバル人材 / 英語力 / アントレプレナー / 非英語圏 / 発展途上国 / 留学経験 / 現地語能力 / 現地への貢献 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、計画としてはインド&中近東に進出している日系企業を洗い出し、その後で現地を訪問して駐在員にインタビューする予定であった。そのためまずインドをターゲットとして、比較的日系企業が多く進出しているバンガロールやニューデリー、ボンベイにコンタクトを試みた。主な方法としては、インターネット上で現地の日本人商工会議所が掲載している日系企業リストを入手し、製造・販売のために日本人社員が駐在していると思われる企業をピックアップしてコンタクトを試みた。その際の連絡手段としてはEメールを用いたが、残念ながら公表されたリストにはEメールアドレスの記載はなく、本社のHPや人事部等への直接電話によって現地責任者や担当者のEメールアドレスを確保する作業から始めなければならなかった。これに相当な時間を要した。その結果18企業のE-mailアドレスを得て、現地訪問について承諾依頼を行ったが、実際に返事があったものはそのうちの2,3件に止まり、しかもいずれもこちらからの訪問を業務への影響から辞退したいというものであった。<コンタクトした先:日系企業18社> そこで次に対象拠点をネパールに移し、カトマンズ日本人会所属企業への接触を試みた。幸いその中の5社からの面談、インタビュー承諾の連絡があったため、平成26年10月25日から4日間カトマンズとルンビニへの訪問を行い、日本人経営者等にインタビューすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の達成度は70%と自己評価している。本プロジェクトの狙いはそもそも将来国境を意識することなく様々な国において働いている、あるいは働いてきた日系企業の駐在員の持つ様々な能力やキャリア観をインタビューを通して探り、その中で彼らがどのような経験を通してローバル人材としての意識や能力を発達させてきたのかを明らかにし、それを次世代を担う人材を育成する大学のキャリア教育に役立てるのが目的である。そのためには今後日系企業が存続・発展していくための主戦場となるであろうアジア、中近東やアフリカの非英語圏に出かけて駐在員直接インタビューする計画であったが、しかし上記研究実績の概要で明らかにしたように、企業側の協力姿勢は決して好意的なものではなく、協力先発掘に多大なエネルギーを要している。したがって当初イメージしたような国あるいは企業数を十分に確保できなかった。また個人的にも複数の業務が重なってこの研究に費やせる時間が限られたことにもよる。すなわち自分は現在国際教育リエゾン機構と多文化社会学部の教員を兼務し、双方の授業を担当しているため、2015年4月創立した多文化社会学部の国際交流委員長としての立場から、短期留学先の選定、説明会や学生派遣の手続き、引率等の業務、中長期留学生交換先の確保に向けた海外大学訪問と交流協定の締結交渉を行っており、その後の学内諸手続きに追われた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、この2年間の研究によって、まずこの計画の実現に必要な現地訪問して駐在員にインタビューできる中小規模の日系企業を確保することが極めて困難であることが分かった。さらにはそのような協力的な企業があっても、かなりインタビューに応じる駐在員の人数が限られること、またそのような企業の所在地域が治安面で不安定かつ危険で、特にテロの惧れがある国も含まれているため、自分が行きたい時に自由に訪問できないといいった外部要因からの制約を受けることが多い。したがって今後の研究方針としては、まず渡航先の安全面を考慮して、もう一度ASEANおよびトルコ等比較的治安の問題が少ない国を対象として訪問国を見直した上で3年目の計画を実施したい。初年度に政治不安から訪問できなかったタイあるいはインドネシアやブルネイを27年度の対象にしたいと考えている。また従来は一定規模の日系中小企業で働く日本人駐在員を対象としたインタビューを行うとしてきたが、グローバルな働き方が増える中で、アジア諸国において組織にとらわれない企業家的な発想で活躍している人材も増えてきていることから、今後はこうした外国においてごく小規模の企業や個人で起業して働いている人も対象として、多様なグローバルキャリア形成の方法を調査研究していきたい。
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Causes of Carryover |
当初はインド、パキスタン等を対象として2拠点を訪問する計画であったが、それがネパール訪問だけになってしまったため、当初見込んだ金額よりも、旅費や宿泊費が少なく納まった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はインドネシア、タイ、トルコ等を対象にして、できれば2拠点を訪問する予定であり、繰り越した分の予算は旅費及び宿泊費に充当して十分使用できる見込みである。
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