2013 Fiscal Year Research-status Report
神楽による地域人材育成と地域の再生:新しい経営学「地域資源開発経営学」の構築
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25590080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
赤岡 功 星城大学, 経営学部, 教授 (10025190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 実 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (00405507)
赤岡 美津子 星城大学, 経営学部, 教授 (00460626)
日隈 健壬 広島修道大学, 人文学部, 教授 (40090229)
崔 俊 星城大学, 経営学部, 教授 (50387908)
濱田 康行 札幌国際大学, その他部局等, その他 (80156405)
藤井 秀樹 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80173392)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域資源開発経営学 / 能動的アクションリサーチ / 広島神楽 / 地域資源 / 相互作用イノベーション / 地域文化アカデミー |
Research Abstract |
平成24年に、日本地域資源開発経営学会を創設し、H25年6月には中部部会を開き、7月広島で第2回全国大会を開催した。本研究は、広島神楽を中心として研究者が能動的に、地域の人々や高校生、地域の諸組織に働きかけ、研究と教育および研究成果を活用し地域の自立的発展をはかる場(地域文化アカデミー)を作り、地域が継承してきた知(地域知)を生かした研究を行い、その活動自体を、地域資源の開発、地域の活性化につなげようとするもので、新しいタイプの能動的アクションリサーチ(AAR)の方法の確立とAARによる研究成果、その実践による地域活性化への貢献を目指したものである。 研究成果は、日本地域資源学会の中部部会と第2回全国大会の場で、市民に公開して発表した。広島神楽を中心に、出雲、石見の神楽と関わりあいながら、神楽のイノベーションが地域の特性と関わって、伝統文化軽視から尊重への意識変化の中で行われたことを明らかにし、地域資源開発経営学の基礎理論構築の試みをした(赤岡功)。この時、自動車企業のイノベーション、顧客獲得の戦略論研究から得られた知見(平野)を踏まえた。また、YOSAKOIソーランという新しい祭りが生まれ隆盛した要因に大学と商店街・企業・行政の力の結集のあり方を示す研究(濱田)、中学生・高校生など次世代の伝統芸能を担う者のモチベーション(赤岡美津子)、および研究協力者による韓国を中心とする伝統芸能の影響を考察し(高崎)、東アジアと日本各地の地域伝統芸能の特質の形成と地域の人々の生活の関係を広くとらえる理論枠組みの構築に向けた考察を行った。これらから、伝統的地域芸能および新しい地域芸能や祭りについて、その継承・変容・発展と地域の地誌的条件の関係と、地域の文化特性の形成、それによる地域芸能・祭りの発展について、仮設が得られ,地域資源開発経営学構築の予備的考察が行えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属組織が、2013年4月に県立広島大学から学校法人名古屋石田学園が設置する星城大学となり、能動的アクションリサーチ(AAR)を行う場を新たに愛知県知多半島近隣におく必要ができ、準備と調整の時間を要したことが主な理由である。しかし、これはある程度予想できたことであるので、AARを行うとき、それを支援する役割をはたす日本地域資源開発経営学会に、比較的大きな中部部会を学会設立当初から置いており、それにより、同年6月、中部部会の市民向け公開講演会と研究集会を開催できた。AARを行うための組織づくりの準備は進捗をみている。他方、文献研究と地域資源開発経営学構築にむけた理論研究は順調に進展しており、中部部会でその一部を報告している。
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Strategy for Future Research Activity |
広島神楽の大隆盛は、神楽団が大サプライズを呼ぶイノベーションを慣行し、それが広く市民に受け入れられたことによる。そして、神楽の革新が神楽団間の相互作用のなかでさらに進んだことが(相互作用革新)主な要因である。 この相互作用革新を中核にした研究を広島神楽、出雲・石見神楽について行っているとき、他方で、名古屋一帯では、からくり人形を乗せた山車祭りが伝わってきており、それが近年再び盛んになってきていることに注目していた。名古屋一帯では、瞠目させるイノベーションを好む地域文化が継承されてきているが、広島と名古屋で好まれるイノベーションの方向が大きくことなる。広島神楽や広島で盛んになってきている花田植等では、芸能としてのサプライズを呼ぶイノベーションであるのに対し、名古屋では目的達成方法の新しさにかかわり驚きをもたらすイノベーションであると見られる。 おなじようにイノベーションを好む地域文化が、異なる方向の革新を、伝統的にもたらしてきた。 そこで、本研究グループは、広島神楽の発展と名古屋の山車祭りとを比較して、新しい地域資源開発経営学の構築を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者の所属機関と勤務地が広島県から愛知県に変わったため、能動的アクション(AAR)の実施の予定地を変える必要があり、準備と調整に時間を要し、AARとアンケート調査は、今年度実施することになった。 広島神楽の調査と関連したアンケート調査を、知多半島5市5町の山車祭り(類似の祭りを含め)および愛知県下で伝統芸能のクラブをもつ高校へ行う。アンケート表の作成・発送・入力・資料整理し、結果の発表会を年度末に予定。
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Research Products
(10 results)