2014 Fiscal Year Research-status Report
ホスピタリティ性を発揮する感情労働者への組織的支援モデルの構築
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25590082
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Research Institution | Bunri University of Hospitality |
Principal Investigator |
田村 尚子 西武文理大学, サービス経営学部, 教授 (00458598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 亨 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (50453460) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 感情労働 / ホスピタリティ / 精神的健康 / 組織的支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究においては、「ホスピタリティ性を発揮する感情労働者への組織的支援」の基本モデル(仮)を構築した。その研究成果を受け、今年度は研究推進計画に則し、1.モデルの精緻化、2.応用モデルの検討、を行った。 1.基本モデルをより精緻化する。具体的には、基本モデル構築を検討するにあたり軸とした3つの仮説に関し、ヒアリング調査を通して検証を行った。ヒアリングは、一般企業だけでなく教育現場、介護施設、更生保護施設など幅広い業種・職種を対象にした。仮説の3つの軸と感情労働から生じる心理的負担への影響および関連性を検証するために次のような質問を行った。現場の対人サービス従事者には、(1)現場における自律性・裁量性発揮の有無と度合い、(2)所属するチームからのピアサポートなど具体的な支援の状況。マネジメント層には、(1)感情労働による負担を軽減するための教育や研修の実施の有無およびその内容、(2)不可視性の高い感情労働への評価方針等、(3)現場のチームへのマネジメントおよび具体的サポート。ヒアリング調査の結果から、現場の対人サービス従事者にとり、所属するチームの質および管理者のサポート力、加えて組織の健全性が業種や職種を問わず感情労働による負担の軽減に大きく影響を与えることが確認された。以上を鑑み、基本モデルの軸とした仮説は、概ね支持されたといえる。 2.業種・職種の特性に応じた応用モデル構築を検討する。今年度の調査で、チーム力が業種・職種を問わず感情労働から生じる心理的負担の軽減に強い連関があることが明らかになった。一方、感情管理技術の習得及びその表現等に関しては、業種・職種の特性により有効性に若干の差異があることが分かった。この点を鑑み、業種・職種毎の応用モデル構築の緒として、教育現場(小学校等)の組織的支援モデルの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.前年度の研究実績で既述したように、モデル構築の軸となる3つの仮説がヒアリング調査を通して概ね支持されたことにより、組織的支援モデルの信頼性・有効性が高まった。この結果を基に、計画通り次の課題である応用モデルの検討に移行しつつある点から、概ね研究が順調に進行したといえる。 2.組織学会研究発表大会において一定の成果を公表するなど、ほぼ計画通りに研究が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本モデルの検討、基本モデルの精緻化が終了し、今後は1.業種・職種毎の応用モデル、2.「実際の現場で有効に機能する」感情労働者への組織的支援モデルの構築が研究課題となる。 1の応用モデルに関しては、(1)感情労働を行っている時(期)間、(2)要求される感情管理技術、という2つの軸を用い、4つの象限に分け、各象限に該当する業種・職種に対し支援モデルを検討する。検討した支援モデルの精緻化のために再度ヒアリングを実施する。必要に応じアンケート調査等も行う。 2の組織的支援モデルの構築に関しては、「実際の現場で有効に機能する」モデル構築のために、関連部署のチームの在り方、管理者のマネジメントおよびサポート状況、組織の健全性等に関する調査を行う。その理由は、これまでの調査の過程を通して、対人サービス従事者の感情労働による心理的負担は、対顧客によるものだけではなく、上司・部下および同僚間との関係、組織風土等が負担の増減に大きく影響を与えていることが判明したからである。この調査のために引き続き、ヒアリングを実施する。さらに必要に応じアンケート調査等も行う予定である。 以上の調査結果を踏まえ、最終的に、実際の現場で有効に機能する[ホスピタリティ性を発揮する感情労働者への組織的支援モデル]を構築し、提示する。
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Causes of Carryover |
1.ヒアリング調査対象者に公務員及び公務員に準ずる方が複数おり、費用として想定していた謝金を受け取られなかった。 2.前年度同様、ヒアリング内容にはプライバシーに関わるものが少なからず含まれており、専門業者に依頼せずに当方で行った。そのため、IC録音を文字化するための費用が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出張経費、質問紙等によるアンケート調査等の費用、ヒアリング対象者への謝金に充てることを考えている。
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Research Products
(2 results)