2014 Fiscal Year Research-status Report
非営利組織経営におけるステークホルダー・マネジメント・モデルの構築
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25590087
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
島岡 未来子 早稲田大学, 付置研究所, 講師 (10614612)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ステークホルダー理論 / 非営利組織経営 / パフォーマンス測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 非営利組織のパフォーマンス測定に関する先行研究の検討:非営利組織のパフォーマンスにかかる先行研究(Costa et all, 2011など)を分析し、本研究における視点を示した。その上で、戦略マネジメントにSMC(ステークホルダー・マネジメントの組織能力)を組み込んだ仮説的な理論モデルを構築した。 2. 実証研究:理論モデルをもとに、特定非営利活動法人エティックを対象にインタビュー調査を行った。分析結果は次の2点である。第1にエティックは社会領域を含む多様なステークホルダーを認識しておりその中には多方向の関係を構築しているステークホルダーも存在する。戦略形成レベルにも複数のステークホルダーが存在する。エティックはレベル3のステークホルダーを通じてこれらの次元を連結していることから、高いステークホルダー・マネジメントの組織能力を有しているといえる。第2にエティックでは、SMCの各要素のレベル3のステークホルダーが戦略策定の各プロセスに関与している。このことは、エティックがその高いステークホルダー・マネジメントの組織能力を活用して戦略マネジメントの各プロセスにおいてステークホルダーを組み込む仕組みを有していることを示す。これより、エティックでは、高いステークホルダー・マネジメントの組織能力が、その高いパフォーマンスに正の影響を与えていることが示唆される。 3. 学会発表:1.2を論文にまとめ、日本NPO学会第17回年次大会にて発表を行った。発表には多くの研究者に参加いただき、独自モデルであるSMCモデル、実証研究、パフォーマンス評価について有益な議論ができた。 4.書籍『非営利組織経営論』(大学教育出版)の共著:先行研究で得た知見をもとに、標記書籍の2章(社団法人および財団法人の制度と経営、独立行政法人の制度と経営)の執筆、出版を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非営利組織経営におけるパフォーマンスの補足においては、組織の公共価値の創出という役割に着目し、行政、協働ガバナンス、社会的起業等の業績評価までスコープを拡大して理論研究を行った。これらの選考研究は極めて多種多様かつ複雑であり、ステークホルダー・マネジメントと関連づけた独自の理論構築に時間がかかった。最終的に、戦略マネジメントへのステークホルダー・マネジメント能力の組み込みにより、独自の理論モデルを開発し、実証研究に着手し、論文にまとめて学会発表を行った。しかしながら、実証研究は初期の段階であり、当初予定していた旅費交通費の使用は部分にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、主として国内のNPOで高いパフォーマンスを示すNPOを対象に、実証研究を行う。実証研究の積み重ねにより、理論を精緻化する。アウトプットとして日本NPO学会で発表した論文を精緻化し、ジャーナルへの投稿を行う。
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Causes of Carryover |
SMCと組織パフォーマンスにかかる理論構築を慎重に行ったため時間がかかった。実証研究には着手したが、まだ初期の段階である。年度内に予定していた旅費の使用が部分的であったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実証研究の旅費等に使用する。
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