2015 Fiscal Year Annual Research Report
創造性とテイストに焦点を当てた消費者行動モデルの研究
Project/Area Number |
25590097
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
水野 誠 明治大学, 商学部, 教授 (10361304)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 消費 / ブランド / 新製品 / クリエイティビティ / 社会階層 / 社会関係資本 / 文化資本 / クリエイティブ・クラス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高付加価値の製品・サービスが成功するには(1)製品・サービスのクリエイティビティ・美的価値が高いとみなされる、(2)社会的に共有されたテイスト(嗜好、趣味)に裏付けられる、(3)そうしたテイストは社会階層と関連する、という仮説を検証する。まず関連する既存研究のサーベイ、国内外での先端的な研究の把握を行い、研究仮説の設定とそれを検証する調査方法の検討を行ったのち、仮説検証のためのウェブ調査を実施した。 最初に必要なのは、現代日本社会にふさわしい社会階層の諸次元を測定することである。そこで社会学的な階層研究に学び、所得、階層帰属意識、職業威信、学歴(人的資本)、文化資本、社会関係資本等を測定した。なかでも文化資本(Bourdieu)、社会関係資本(Lin他)は現代社会の分析視角として重視されるべきものである。 本研究独自の貢献は、クリエイティビティと美的価値に関わる消費のテイストを規定する次元を見つけることである。クリエイティブ・クラス論(Florida)を参考に、仕事におけるクリエイティブ志向に基づきクリエイティブ資本の測定を行った。また、伝統的な職業威信とは別に、クリエイティブな職業が持つ機能を考え、そうした職業への社会ネットワークをクリエイティブ社会関係資本と呼ぶことにした。クリエイティブ社会関係資本は、通常の社会関係資本と同様、ポジション・ジェネレータとして知られる社会学上の手法を応用して測定した。 これらの準備のもと、伝統的な社会階層次元とクリエイティブな社会階層次元が、いかに消費行動の差異と関連するかを分析した。そのため、階層の諸次元と消費においてクリエイティビティ・美的価値を希求する意識、具体的なブランド選好、画期的な新製品の所有ないし新サービスの利用との関係を統計的に分析した。その結果は、進化経済学会で報告された。
|
Remarks |
進化経済学会に提出した予稿がウェブ上で公開されている(URLは上述)。
|