2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25590110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
井上 信宏 信州大学, 経済学部, 教授 (40303440)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域包括ケア / 高齢者介護 / 生活保障 |
Research Abstract |
本研究では、長野県松本市をフィールドにして、高齢者介護における地域包括ケアシステムの構築を実践するとともに、その実践過程を素材として、地域包括ケアシステムの構築モデルを示すことを目的としている。それを実現するために、地元の自治体、福祉専門職、地域住民組織、他大学等への働きかけを行ない、高齢者介護の社会学習を重ねながら、地域連携のネットワークの構築を試みる手法を採用している。 2013年度の計画は、関係者の協働を可能とするプラットフォームの構築と運営が計画されていた。 本年度の研究実績は、第一に、プラットフォームの構築のために、松本市役所の関係部局の協力を得て「地域包括ケアシステムの構築に向けた意見交換会」を7月に実施、研究代表者が「地域包括ケアシステムの構築について」問題提起を行ない、参加者14名で新たなネットワークづくり、医療との連携、松本市独自の“福祉ひろば”の新たな役割等の意見交換を行なったことである。 その成果を受けて、第二に、信州大学医学部、松本大学、松本短期大学に所属する研究者らと意見交換を重ねた上で「まつもと・地域包括ケアシステム研究会」を組織する作業を進め、60名弱の研究会名簿を作成したことである。 このようなプラットフォームの構築作業と併行して、第三に、研究代表者は地域包括ケアシステムにかかる政策分析、文献調査等を実施し、井上信宏「生活保障システムの転換と地域包括ケア」(信州大学経済学部スタッフペーパー、13-02、2014年3月、pp.1-17)をまとめたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、研究者自身が研究対象に働きかけることで協働のためのプラットフォームを作り出し、そこで意見交換会や研究会を重ねるなかで当事者間の協働の経験値を高めながら、一連のプロセスを分析するという参与調査アプローチを採用している。 2013年度の計画は、プラットフォームの構築とその運営を中心とし、それと併行して地域組織化の先行事例の研究と政策分析を実施するものであった。本年度の研究目的の到達度は「おおむね順調に進展している」と評価する。その根拠は以下の通りである。 第一に、プラットフォームの構築のために、まずは松本市の地域づくりと福祉にかかる行政の担当者の協力を得て、行政組織内で組織を横断する意見交換の場を用意し、そのなかで地域包括ケアシステムの課題を共有し関係者のネットワークを構築する足がかりを用意できたことである。 第二に、行政の担当者のネットワークや他大学の研究者との意見交換を通じて、地域の地縁組織の中で地域組織活動に取り組む人材と繋がりをつくり、介護保険事業者や社会福祉士、介護支援専門員などの在宅支援の専門職や在宅介護に先進的に取り組む医療関係者との繋がりを用意し、職種横断的な「地域包括ケアシステム研究会」(ラウンドテーブル)の組織を固めることができたことである。 こうしたネットワークの基盤構築には、いわゆる“手づる”を育てるなかで人を繋いでいく作業が欠かせない。初年度の研究の多くは、このネットワークの基盤構築に使われることになったため、研究会の開催回数が当初予定より若干少ないが、今後の研究の推進過程で調整可能な範囲と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度の研究は、長野県松本市を中心に、自治体、他学部他大学の研究者、福祉関係者、医療関係者の連携づくりを中心に据えた。 今後の研究は、本年度までにネットワークを構築できた対象以外にも職種横断的な研究会(ラウンドテーブル)への参加を拡大し、継続して研究会を開催することになる。 研究会では、専門職連携にかかるテーマに焦点を絞り、医療と介護の連携、地域住民と専門職の連携構築を試みることになる。 こうした研究会の開催と併行して、先進的な他地域の取組事例の現地調査を行ない、その成果をもとに研究会を開催することになる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では、外部講師等を招聘した研究会の開催を計画していたが、研究の進捗状況により、次年度以降に開催することにした。 当初計画に記載していた外部講師等を招聘した「地域包括ケアシステム研究会」を次年度以降に適宜開催することで、以下のように計画的に研究費を使用することにする。 第一に、2013年度に開催できなかった地域組織化の先進事例の現地調査を実施し、当事者を研究会に招聘する。 第二に、2014年度に開催予定の専門職連携の先進事例の現地調査を実施し、関係者を研究会に招聘する。
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Research Products
(1 results)