2014 Fiscal Year Research-status Report
専門職による認知症の人の生活支援における困難感とその要因に関する日韓比較研究
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25590149
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
黒田 研二 関西大学, 人間健康学部, 教授 (70144491)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症 / 地域包括支援センター / 相談支援 / 支援困難感 / 医療と介護の連携 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
人口高齢化とともに認知症の人の生活支援は喫緊の課題となっている。本研究は、地域におけるその相談窓口である地域包括支援センター等の専門職を対象とした調査を実施し、認知症の人の支援および支援に伴う困難感とそれらの要因を明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度行った大分県での地域包括支援センター職員の認知症の人への支援業務に関する調査の分析を進め、報告論文を作成した。また、堺市の地域包括支援センター職員に対して同様の調査票を用いて調査を行い、分析を進めている。ふたつの調査に共通して、以下のような点が明らかになった。 支援相談員の認知症に関する業務の実施は、医療機関との連携をどの程度行っているかに、強く依存している。また、地域包括支援センターの運営において、職員間で事例検討などの連携をよく行っているところで、支援相談員の認知症に関わる業務がより多く実施されている。一方、職員の感じている認知症の事例への支援困難感は、認知症に対する地域医療の現状認識と密接に関連し、地域医療への否定的現状認識が支援困難感につながっている。 地域包括支援センター職員から見て、医療機関による認知症の人の医療の現状には問題が多く、「内科疾患や骨折などの合併症の方の入院受け入れが困難」「連携の取れる医療機関が限られている」「BPSDが強いときの緊急受け入れ先がない」などに「ややそう思う」「強くそう思う」と答えた人が8割~9割程みられた。 今後、地域包括支援センターとして、地区医師会との連携、認知症疾患医療センターを含む認知症診療を行う中核的病院との連携を強化していくことが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期に研究目的としてあげていた地域包括支援センターの職員への調査はほぼ計画どおりに進行している。調査の対象も計画で述べていた大阪府の地域包括支援センターのみならず、大分県の地域包括支援センター、さらに大阪府調査とは別に独自に堺市の地域包括支援センターの調査を実施した。また来年度は韓国における調査を行う予定であり、韓国の共同研究者(慶南大学のチャン・ユンジョン准教授)と連絡をとりあって、準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、認知症の人の相談支援機関の職員の調査を基に、支援の実態と職員が感じている支援困難感を明らかにし、それらを規定しいている要因を分析することを目的としている。支援機関としての職場環境や医療との連携の現状が認知症の支援の実態に影響するという知見が得られている。また、支援困難感にも医療との連携の現状が密接にかかわっていることが明らかになってきた。 最終年度には、こうした分析結果を学術論文として公表していく。また、韓国の共同研究者との連絡を密にして、両国の認知症施策の動向の比較、および地域の支援現場における取組みを調べ、マクロとミクロの双方の視点から、それぞれ2か国の共通点と独自な点を明らかにしていく予定である。
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Research Products
(2 results)