2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25590165
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
小林 江里香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (10311408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 世代間関係 / 世代間交流 / 高齢者 / ボランティア / 援助行動 / エイジズム |
Research Abstract |
少子高齢化が急速に進む中、世代間対立を回避し、世代間で連帯して社会的問題の解決にあたることの必要性が高まっている。これまでの研究は、若年世代の側からの高齢者に対する態度に焦点を当てたものが多かったが、本研究では、高齢者の若年者への態度に焦点を当て、それらを測定するための尺度の開発を行い、若年世代への支援的行動や支援意向との関連を明らかにすることを目的とする。 研究計画の1年目である平成25年度は、研究協力者数名とともに、1)先行研究のレビュー、および2)若年者側・高齢者側からの世代間関係に関する意識の意見収集と分析を行った。1)については、エイジズム研究と、エリクソンの「世代性(generativity)」について、理論的背景やこれらを測定するために開発された既存の尺度について検討した。また、援助行動研究において明らかになっている援助・非援助要因についても整理し、本課題への適用可能性を検討した。 また、2)については、20代の大学生117名に質問紙調査を行い、高齢者との交流の実態や高齢者が若者について理解していないと感じた経験について尋ね、自由記述の質的分析を行った。また、研究協力者が実施した、高齢者約50名へのインタビュー調査に基づき、若年世代との交流の動機やそのような交流によって得られる心理的効果について検討した。これらの質的データの分析の結果、高齢者の若年世代への態度には、時代変化に対する知識や関心の程度が影響している可能性があること、対象の年齢(子どもか若者かなど)や、交流の文脈(地域、家庭、職場など)によっても態度が異なる可能性があることが示唆された。 平成26年度に実施を予定している前期高齢者の郵送調査では、以上で得られた知見に基づいて、サンプリング方法の決定や調査票の作成を行うことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の当初の計画では、20~30代、40~50代、60~70代の年齢層ごとにインタビューを行い、高齢者の若年者に対する態度や支援的な行動にはどのようなものがあるかについて意見を収集する予定であった。20代については自由記述を含む質問紙調査、60代以上にはインタビューによって意見収集が行われたが、30~50代からの意見収集が未完了であるため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度前半に30~50代への調査を行い、前年度に引き続き、若年世代の側からみた、高齢者の(若年者への)ポジティブ・ネガティブな態度や支援的行動の事例を収集する。本研究の焦点は、高齢者側からの若年世代への態度と支援にあるが、世代間関係は双方向での関係であり、若年者側からの視点も導入することで、重要な次元の見落としがないようにするものである。30~50代への調査手法は、当初予定していた個別または集合のインタビューではなく、調査会社のモニターに対するインターネット調査によって、自由記述での意見を得ることを計画している。研究者個人のつながりだけでは多様な職業の人から意見を得にくいことや、仕事などで多忙な世代であることを考慮した。 平成26年度後半には、無作為抽出された前期高齢者に対する郵送調査の実施を予定しており、前年度の研究成果および上記の30~50代の調査結果は、この郵送調査の調査票作成において参考にする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定していた各世代への質的調査が、インタビューから質問紙調査に変更されたり、一部の世代については実施されなかったことにより、計画よりも使用額が少なくなった。また、平成26年度に実施する郵送調査のための費用が、当該年度に支給予定の金額だけでは不足することが見込まれたため、平成25年度分の支出をできるだけ抑制し、次年度に繰り越すこととした。 30~50代を対象とした質的調査(平成25年度未完了分)と、無作為抽出された前期高齢者への郵送調査の実施に関わる費用として使用する。
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