2015 Fiscal Year Research-status Report
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25590165
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
小林 江里香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 主任研究員 (10311408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世代間関係 / 世代間交流 / 高齢者 / ボランティア / 援助行動 / エイジズム |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化が急速に進む中、世代間対立を回避し、世代間で連帯して社会的問題の解決にあたることの必要性が高まっている。これまでの研究は、若年世代の側からの高齢者に対する態度に焦点を当てたものが多かったが、本研究では、高齢者の若年者への態度に焦点を当て、それらを測定するための尺度の開発を行い、若年世代への支援的行動や支援意向との関連を明らかにすることを目的とする。 本研究では、2014年11~12月に、無作為抽出された首都圏(1都3県)在住の60~69歳男女1,500人を対象に郵送調査を実施し、813人(54.2%)より有効回答を得た。調査項目は、先行研究や若年世代から収集した高齢者との交流事例を参考に作成したものである。態度に関しては、世代間関係に関する意見(敬老志向、高齢者自立志向など)、若者への否定的態度(Fraboniエイジズム尺度参考)、Generativity尺度(田渕他2012)、一般的な互恵性への信頼、支援行動としては、職域・地域での若年者支援、子どもや青少年のための募金・寄付、ボランティア参加などが含まれていた。 2015年度は、得られた調査データの分析と公表を行った。地域における若年世代への支援としては、「子どもの安全・健全な成長」「親への手段的サポート」「親への情緒的サポート」の3つの構成概念から成る「地域の子育て支援行動尺度」を開発し、十分な信頼性・妥当性があることを確認した。また、前述の様々な態度と支援行動との相関分析を行った結果、どの種類の支援も、次世代育成・継承への関心を表すGenerativityとの正の相関が最大で、特に職域での支援との相関が高いこと、若者への否定的態度のうち、「嫌悪・回避」は支援と負の相関があるが、「誹謗」は職域を除く支援とは無相関であり、若者への批判的態度は、必ずしも支援の抑制につながっていないことなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、調査結果をまとめたパンフレットの作成、2回の学会発表、雑誌における論文公表と、予定していた研究成果の公表が順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータ分析と成果の公表を推進するため、研究期間を平成28年度まで延長した。高齢者の若年者への態度と支援行動との関係については、モデルをさらに精緻化し、論文での公表を目指したい。
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Causes of Carryover |
平成26年度の郵送調査の費用を予定より低く抑えられたため、平成27年度に繰り越していたが、本年度も人件費等を計画より低く抑えることができた。また、論文の刊行が年度末(平成28年3月)となったため、掲載料・別刷代の支払いが年度内にできなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文公表に関わる費用や学会発表のための費用として使用する。
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Remarks |
以下のパンフレットを発行し、研究チームのホームページ上でも公開している: 東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チーム「世代間関係の意識と実態に関する調査報告書-首都圏60代シニアの調査から-」, 2015年6月発行
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