2013 Fiscal Year Research-status Report
幼児教育環境と幼児の共発達に関する生態・文化的アプローチ
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25590166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川田 学 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80403765)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幼児教育 / 環境 / 行事 / アレンジ / 発達 |
Research Abstract |
平成25年度は,3年間を通して研究のフィールドとなる私立幼稚園の諸特性を明らかにすることを中心的な課題した。4月下旬から新年度の幼児および環境構成を観察し,教師への聞き取りを行った。その後,各学年の保育室その他に掲示してあるスケジュールボードの撮影を訪問ごとに行い,教師による学年ごとの時間的環境の設定の仕方を記録した。5月の大型連休明けからは,5歳児において毎週火曜日に「フリーデー」と呼ばれる幼児たち自身がその日一日の活動内容を自分たちで決定する保育形態が導入される過程を観察した。5月下旬から6月下旬までは,6月23日に開催された運動会に関わる練習過程を集中的に観察・聞き取りを行った。これらの調査により,当該幼稚園に特徴的な時間的環境の在り方,年間行事における運動会の教育的位置づけとそれを通した集団形成の仕組みに関する仮設生成を行った。運動会終了後から夏休みを挟んで11月上旬までは,主として園庭における遊びと環境との関係を観察・記録した。具体的には,年少,年中の幼児が上の学年の幼児をどのように「見る」のか,「見る」行為が前後の遊びの文脈とどのように関連しているのかを検討した。8月上旬には全学年の担任に対して1学期の振り返りに関するグループインタビューを実施し,更に,10月の数日間にはセンシング技術を用いた名札型の装置を教師に装着してもらい,保育時間中の教師間コミュニケーションの量と質に関するデータ収集を行った。11月以降は,次年度以降の積雪期の保育場面の観察に関する研究視点を定めるための自然観察を継続して行った。平成25年度の調査概要は,次の論文にまとめた。川田学・井内聖(2014).幼児教育環境と幼児の共発達に関する生態・文化的アプローチ(1):研究の視点とフィールドの特性.子ども発達臨床研究,5,35-57.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画は,フィールドとなる幼稚園の諸特性を把握することを目的としていたが,その目的をおおむね達成したを評価できる。具体的な研究領域としては,①幼児と環境と教師の教育意図との関連性,②幼児のコミュニティへの参加における「行事」の役割,③幼児の個人的テーマの生成と変化,という3点を挙げていた。特に研究の具体的進展が見られたのは②であり,幼稚園の年中行事における運動会の位置づけと,その取り組み過程における幼児の集団形成と教師の教育意図や指導・援助の関係を一定明らかにすることができた。③については,特別な支援を要する5歳児1名について,自然観察とケースカンファレンスを通していくつかの研究視点を得ることができたが,視点児の抽出方法とデータ収集において課題が残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の遂行には,研究に協力いただく幼稚園との信頼関係が最も重要である。その意味において,平成26年度も円滑な研究活動ができる信頼関係と研究補助体制が整っている。今年度は,更に,幼稚園自身が持っている研究課題と本研究課題を結び付けながら展開することを考えている。平成25年度に行った観察や聞き取りに加え,幼稚園の研究部での話し合いや教育課程編成会議への参加も行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額62,154円の内,30,069円は3月に雇用した短期支援員給与分である。残りの32,085円は経費の節約によって生じたものである。 ・未使用額の内,30,069円は3月に雇用した短期支援員給与の4月支払いに充てる。 ・経費の節約により生じた未使用額32,085円については,今年度の短期支援員雇用に使用する。
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