2014 Fiscal Year Research-status Report
幼児教育環境と幼児の共発達に関する生態・文化的アプローチ
Project/Area Number |
25590166
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川田 学 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80403765)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 幼稚園 / 幼児 / 発達 / 保育者 / 環境 / 行事 / 集団 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,以下の研究を行った。具体的には,(1)研究協力園における戸外および屋内環境の定点観察,(2)掲示物や年間計画,保育方針や教育課程の修正などにかんする聞き取り調査,(3)年間を通した行事活動,とくに運動会と生活発表会の追跡観察,(4)4歳児の保育状況に関する観察と聞き取り,(5)戸外環境におけるモノと幼児とのかかわりである。 (1)においては,とくに園庭の固定遊具や池・水田,樹木等の比較的固定的な環境の変化を記録した。また,屋内においては,時間的環境の指標である園児向けのホワイトボードの記載内容と書かれ方を記録した。(2)においては,保育者に対して季節の掲示物や室内のしつらえの変化に関する聞き取りをその都度行い,園長に対しては年度の比較的早い段階と,年度末において,当該年度の保育方針や教育課程,教員配置に関する修正意図や次年度に向けた考えなどについて半構造化面接を行った。(3)においては,特に5歳児に焦点を当てて,運動会および生活発表会という二大行事への取り組み過程を比較検討した。(4)においては,ティーム保育の3歳児からクラス単位の保育形態に変容するなかでの幼児や保育の状況について保育場面の観察と保育者の聞き取りを行った。(5)においては,モノの中でも園庭に落ちている棒に注目した観察を行い,また棒の内部に3軸加速度センサを挿入した特殊な方法により,幼児たちが棒をどのように使うかについての定量化を試みた。これにより,戸外環境に存在するモノそれぞれの,幼児との関係の質について一定の検討を行うことができた。 以上の5点の研究から,年度を通した幼稚園の変容と,幼児の発達との相互連関に関する研究視点の構築を一定前進させることができたと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,平成25年度にある程度定めた研究視点を用い,また,新規の発見も取り入れながらより具体的な研究展開を行うことができた。当初の予定では,当年度は4歳児の保育に重点を置いて調査していく予定であったが,前年度の調査を受けてより広い視野で観察指標を求め,特に保育環境の変容と,幼児と環境のかかわりについての調査を入念に行った。全体として,研究課題全体に対する進度としてはおおむね順調に進展しているという自己評価を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として,重点を置くのは以下の点である。(1)入園直後から夏休みまでという幼稚園生活の最初のスタート時期である3歳児がどのように幼稚園環境になじんでいくのか,またそれと連関する保育者の子どものとらえ,環境の変化とはどのようなものかを明らかにすること。(2)保育環境下における幼児のモノとのかかわり方のバリエーションと変容について明らかにすること。(3)運動会等の行事における集団的な幼児の変容過程を明らかにするための観察指標を開発すること,である。このうち,特に(1)と(2)は研究協力園自身の実践的課題とも重なるので,いっそうの研究連携をはかり,本研究課題を推進していく。
|
Causes of Carryover |
研究発表費として予定していたもの1件を見送ったため。また,予定よりも研究補助の人件費が少なくすんだため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果報告のための報告書の作成にあてる。
|