2014 Fiscal Year Annual Research Report
生殖期女性における生物学的生殖性と心理学的生殖性の関連と統合に関する研究
Project/Area Number |
25590174
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
齊藤 誠一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60186939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
則定 百合子 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10543837)
上長 然 佐賀大学, 文化教育学部, 講師 (50552965)
田仲 由佳 神戸医療福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (30621122)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生殖性 / ジェネラティビティ / 生命性 / 月経 / 妊娠 / 出産 / 親性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生殖期女性が月経、妊娠、出産など自己の生物学的生殖性について、それをどのように受容し、そのありようが妊娠、出産、子育てにどのように関わり、そうしたことが生命性や世代継承性課題にどのように影響するかを検討することを目的とした。主要な結果は以下の通りである。①若年成人期の生命性形成の要因を質問紙調査で検討したところ、結婚していること,子どもがいることが生命性認識に影響を与え,自らの死による周囲への影響を配慮する傾向が明らかになった。②妊娠・出産経験の影響について半構造化面接で質的に検討したところ、妊娠・出産は女性の生命性認識を変化させ,妊娠・出産および子どもの存在によって命の有限性を意識し,自己の死を回避することを望むことが明らかになった。③妊娠期とその前後での生命性認識を質問紙調査で検討したところ、妊娠期では妊娠前や出産後とは異なる特徴を示し、むしろ妊娠期では死への不安・恐怖が低下し,自分の死による周囲への配慮が上昇することが明らかになった。④月経前症候群(PMS)など生物学的生殖性に関わる月経関連変数について20代前半の女性に対して質問紙調査で検討したところ,約60%の者がPMSを知らないもしくはあまり知らないと回答したが,実際には約20%がPMS症状を,約30%がPMS傾向を示しており,さらにこうしたPMS症状を有する者が将来家族からのサポートを期待できないとした時のみ育児に対する抵抗感を高く示していることが明らかになった。⑤月経、妊娠、出産などの生物学的生殖性について中年期女性に対する半構造化面接で検討したところ、約40年にわたる月経とのつきあい、妊娠期の身体的苦痛、出産時の痛みなど総じて体や心の痛みとして認識をしているものの、概して肯定的に受容していること、また経験のされ方の個人差も影響を与えていることがが明らかになった。
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