2014 Fiscal Year Annual Research Report
ASD者が視覚的に空気を読むスキルを習得するためのプログラムの開発
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25590175
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
佐竹 真次 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (90299800)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発達障害 / 自閉症スペクトラム障害 / 視線 |
Outline of Annual Research Achievements |
ASD者は対人場面において他者の視線を観察しないことから、それを手がかりとして活用することなく、結果的に他者の感情や意図を読み取ることに失敗すると考えられている。本研究では、そのようなASD者の特徴が、複数の他者が存在する場面で、その時々の中心人物が誰かを推定するスキルにも影響を及ぼしているのではないかと考えた。そこで、コース立方体テストのIQが100以上で絵画語彙年齢が12歳以上の8名のASD者と同数の生活年齢12歳のTD者を対象として、まず3名の人が会話をしている場面の静止画9種類を1.5秒間提示し、それを観察する間の被験者の固視位置を測定した(観察条件)。次に、同じ9種類の静止画を提示し、3人の中で今誰が話しているかを3択ボタンによって答えてもらった(課題条件)。その結果、観察条件では、TD者がほぼ3名の人物全員の顔を固視するのに対して、ASD者はほとんど中央の人物の顔だけを固視した。一方、課題条件では、ASD者の方がTD者よりも反応時間が多少長いものの、ASD者もTD者と同様、3名全員の顔を固視した。また平均正答率にも差はなかった。以上のことから、ASD者は認知的課題の解決を前提として課せられれば、複数の他者の顔を固視してその中の中心人物(話し手)の探査をすることが可能であるが、単に自発的観察に委ねられるだけの状況では、ASD者は複数の他者の顔を念のために万遍なく固視して中心人物を探査しておくことは少なく、それをTD者は日常的に柔軟に行っていることが示唆された。本研究の結果を活用し、社会的場面に身を置く際にときどき場面全体を見渡す習慣をASD者が身に付けることを支援するプログラムを検討する。
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