2015 Fiscal Year Research-status Report
児童養護施設入所児の学力向上を目指した個別学習支援プログラムの開発
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25590179
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
赤澤 淳子 福山大学, 人間文化学部, 教授 (90291880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂田 恵美子 関西学院大学, 文学部, 教授 (90291989)
谷向 みつえ 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 教授 (20352982)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 児童養護施設 / 個別学習支援プログラム / 学習コンピテンス / CBCL / コンボイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小学校3年生から6年生までの児童 養護施設入所児童(以下、施設入所児童)を対象とし、研修を受けた大学生による個別学習支援プログラムを実施し、プログラム前後の児童の学習コンピテンス等の変容、支援大学生の対人援助職適正等の変容、および施設職員の学習支援に対する意識の変容について検討することを目的とした。 平成25年度は、児童養護施設において現在行われている学習支援の実態とニーズの聞き取りを行い、施設入所児童を対象にした学習支援者養成カリキュラムを開発しテキストを作成した。 平成26年度は、テキストを用いて研修を受けた大学生を児童養護施設のスタッフと協議の上、対象児童とマッチングし、約9ヶ月間の学習支援を実施した。施設入所児童のデータについては、事前のアセスメント結果を、同年齢の一般家庭児童と比較分析した。虐待の種類によるアセスメント結果の分析を行った。その結果、児童養護施設入所児道は一般家庭児童より、また、施設入所児における虐待経験児童はそうでない児童より、わずかに学習や学校での困難さを感じやすいことが明らかとなった。また、学習や学校の困難さと児童の問題行動との関連も示され、児童養護施設入所児童に対する小学生段階からの個々の特性に応じた個別の学習支援体制の必要性が示唆された。大学生および職員についても同様に、事前アセスメントの結果を分析した。大学生については、学習支援に参加した学生は、そうでない学生より、対人援助職適性および対人援助自己効力感が高いという特徴がみられた。さらに、施設職員調査から、職員は学習支援者に対し専門性よりも意欲や継続した関わりを望んでいることがわかった。 平成27年度は、引き続き2年目の支援を継続しつつ、平成26年度の支援の事前・事後データの整理を進め、変容についての分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、個別学習支援プログラムの実施は平成26年度で終了し、平成27年度にプログラムの効果検証を行う予定であったが、施設入所児童 および支援大学生の希望もあり、支援を1年間延長した者がいたので、事後の再アセスメントの検討が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成26年度および平成27年度に実施した個別学習支援プログラムの事前・事後における施設入所児童、支援大学生、および施設職員のアセスメントの結果について分析し、その結果を 学会等で発表した後に論文として執筆する。また、プログラム実施の効果について児童養護施設にもフィードバッックし、今後の児童養護施設の学習支援の在り方を検討に役立てる。
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Causes of Carryover |
当初個別学習支援プログラムは平成26年度で終了する予定であったが、平成27年度も継続する学生がいた。学生への謝金は実習記録が提出された後に支払っているため、平成27年度末の支援に関わる謝金未払い分が残っている。また、その支援のデータ整理に関わる謝金が未使用となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学習支援を実施した学生への謝金およびデータ入力に関わる謝金として使用する予定である。
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