2013 Fiscal Year Research-status Report
生体リズムを手がかりにした若者の健康支援~からだを通じて見えない心を理解する
Project/Area Number |
25590182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高橋 恵子 弘前大学, 保健管理センター, 講師 (70281904)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 行動変容 / 生体リズム / イマジネーション |
Research Abstract |
本年度は学生らが日常生活の上でどのような健康的でない習慣に悩み、変えたいと思っているか、その内容を具体的に調査し、それらの行動変容について検討した。習慣的行動は内在的なからだのリズムを伴い、ほとんどの場合意識されずに繰り返される。そのためこれらの行動変容には、心理的生理的レベルでの抵抗が伴いやすい。その反発をいかに回避し、望ましい行動変容へと結びつけてゆくか、その探索が初年度の課題であった。 大学生132名(男性50名,女性82名)を対象に実態調査を行った結果、変容したい事柄は、時間的なルーズさ、無駄遣い、問題を先延ばしにする傾向、朝起きられない癖、さらに対人コミュニケーション、学業、食習慣などの身近な問題があげられ、いずれも習慣的な行動を含み、日常の生活と深く関わっていた。 介入一ヶ月の期間の後、変容がみられた群では、否定的な気持ちを否定しない(受容)、自分がやりたいことを行う(自律性、能動的態度)、現状からはじめる、小さく丁寧にスタートする、継続性をもって行動する、目的に自我関与するなどがあげられた。 一方の不変群では、外的要因に依る目標設定、価値観と合わない具体性を欠いた観念的な構え、抵抗的でネガティブな感情がわき上がることなどがあげられた。変容群と不変群では、自律性の問題が深く関わっており、これらは内在的な目に見えない心やからだのリズムを理解する本研究課題と関連する結果であり、今後の検討事項であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は、集団における実態調査を行うことである。本課題についてはおおむね良好に遂行されている。 現時点までに、若者が日常生活上で困っている習慣的な行動のパターン、行動変容を難しくしている要因、心理行動学的な内容に関する精査と、より具体的で効果的な介入方法について検索を行っている。 課題としては、心の準備状態としてのマインドフルネスと行動変容との関連、心理検査のエゴグラムとの関連の検討が未着手であることがあげられる。調査対象者の内発的な行動変容を引き出す心理要因の検討を今後さらに継続して進めてゆく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題としては、健康教育の基礎資料となる生理学的指標の評価、および関連する心理行動学的な媒介変数の総合評価があげられる。生理学的指標としては生体リズムの自律神経機能の分析、心理指標としては特に内発的なイマジネーションの自己変容過程の検討を行う予定である。 1)生理学的指標:生体リズム(自律神経機能評価) 心拍変動の周波数解析による自律神経機能のデータ収集を行う。身体生理指標の評価については連携研究者および、メーカー担当者と検討を進めている。 2)心理指標:イメージを用いた自己変容プロセスに関する検討 これまでの知見をふまえ、①意識の抵抗を回避する内発的な道筋をつける介入方法についての探索、②新たな行動パターン形成のための生体リズムとの関連について検討する。特にイメージが生み出す内発的な変容過程について、単語や絵などを利用した創造的な自己変容プロセスや、視覚イメージの統合過程について検討する。 これらの調査データをふまえ、心理面、行動面、自律神経活動(生理学的側面)からの包括的な評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は研究補助を雇用せず人件費が発生しなかったことから経費が削減された。また版権元のある心理検査を購入する必要がなかったこと、および研究打ち合わせを次年度に順延したことで歳出が抑えられた。 次年度は研究補助、および調査参加者への謝礼が必要となる。また自律神経機能検査に関わるランニングコスト、連携協力者との研究打ち合わせ、学会出張のための旅費が複数回見込まれている。
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