2014 Fiscal Year Annual Research Report
青少年の物質使用のリスクとなるパーソナリティに関する縦断的研究
Project/Area Number |
25590183
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田中 麻未 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 特任助教 (90600198)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パーソナリティ / 喫煙行動・飲酒行動 / 縦断研究 / 青少年 |
Outline of Annual Research Achievements |
青少年の問題行動の一つである物質使用のリスクは,12~16歳の時期に高まることが指摘されている。物質使用にはさまざまな要因が複雑に絡んでいるが,とくに物質使用とパーソナリティとの関連が注目されており,パーソナリティが物質使用のリスクとして寄与することが明らかになっている(Bogg & Roberts, 2004)。近年,物質使用のリスクとなるパーソナリティを測定するために,The Substance Use Risk Profile Scale(SURPS)が開発された(Conrod & Woicik, 2002)。23項目で構成されるSURPSは簡便に使用できることから物質使用のスクリーニングとして適しており,欧米では青少年を対象に,SURPSを使用した物質使用のリスクとなるパーソナリティに関する研究の蓄積が始められている(Krank et al., 2011)。そこで本研究は,SURPSで測定されるパーソナリティがリスク因子となり,青少年の物質使用(喫煙行動・飲酒行動)を予測するかを縦断データにより明らかにすることを目的とした。また,子どもを取り巻く環境要因として,親の行動特徴がどのように関わっているのかについて検討することも目的として行われた。 平成26年度においては,まず,(1)中高生を対象に実施した2時点の縦断データにより,SURPSで測定される特定のパーソナリティが,喫煙・飲酒行動のリスク因子となることが示された。また,(2)子ども自身のパーソナリティだけではなく,養育者のパーソナリティや喫煙・飲酒行動,メンタルヘルスもまた,子どもの喫煙・飲酒行動に関与していることが明らかとなり,親の行動特徴が子どもの喫煙・飲酒行動を調整する要因の一つとなることが示唆された。さらに,(3)共同研究による双生児法を用いた行動遺伝解析から,パーソナリティの一つである絶望感を高めるような遺伝的要因と非共有環境要因が,同時に喫煙・飲酒行動と抑うつのリスクを高めるような働きをすることを明らかにし,その成果について学会発表を行った。
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