2014 Fiscal Year Research-status Report
教師の概念変化を促す手法を用いたバーンアウト予防プログラムの開発
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25590184
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小堀 彩子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00432188)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バーンアウト / 生徒指導 / 教育相談 / スクールカウンセラー / 教師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,児童・生徒への科学的知識の教授法として近年注目されている「概念変化」の研究枠組みを,生徒指導,教育相談に苦慮する教師の支援に役立てることで,スクールカウンセラー(学校臨床心理士)と,教育現場の新たな連携手法と研修プログラムの開発を行い,教師のバーンアウト予防を目指すものである。 2年目である平成26年度は,第一に,研究者がスクールカウンセラーの立場から直接関与したり,教師に対しコンサルテーションを行った事例を元にして,教師が関わりに苦慮するポイントの整理を行った。分析の結果,(1)「不登校の子どもに対し,登校刺激を与えてはいけない」というように,子どもがネガティブな反応を示す働きかけを禁忌と捉えるために問題解決に向けた目標の設定を見誤り,問題を長期化させてしまうケース,(2)子どもの問題行動の背景について,子どものパーソナリティや教師の資質などの個人の問題として捉えるために合理的な対処ができなくなっているケースが多くあることが示された。 第二に,上記2点の問題を解決することを目指し,事例を交えながら研修を行った。研修実施後には,研修の内容に関する理解や有用性について聞き取りを行った。その結果,(1)の内容は多くの教師が理解し,今後の介入において活用できそうだとの印象を持ったのに対し,(2)は,具体的な事例に結びつけて理解することが難しいと答える者がおり,内容の改善の必要性があると思われた。 以上の通り,今年度は,児童生徒の生徒指導,教育相談上の問題の成り立ちと介入に関して,多くの教師が誤解していたり,理解しづらいと感じていたりする内容を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,学校現場で事例を収集することで仮説を生成し,さらに,その仮説を検証するために研修プログラムを作成,試行した。これは当初の予定通りの進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研修プログラムを改良した上で,プログラムを実行する。そして,生徒指導,教育相談において教師が苦慮するポイントに関する概念変化の程度の測定を行うことでその効果を確かめる。あわせて,ポイントの理解度とバーンアウトとの関連について検討を行う。
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Causes of Carryover |
人件費について,謝金を払う予定であった者から辞退があったこと,また,人件費が発生する予定の作業を研究者自身が行ったことから,支出が0円となった。これが次年度使用額が生じた主な要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の研究費の残額については,平成27年度に収集予定のデータを保存,分析する上で必要な物品の購入に充てる。 平成27年度は,年間を通じてフィールドに出向き,観察やプログラムの実施,質問紙調査の実施を行う。したがってこれらのデータ収集にかかる費用が必要である。また,収集したデータを保存,分析するための物品(パソコン,記録メディア等)が必要となる。さらに,収集したデータの入力を外部に依頼する予定であることから,謝金が生じる。さらに,研究に関わる情報交換をするため,学会に出向いたり,連携研究者と打ち合わせをしたりすることから,旅費が必要である。
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