2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25590203
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高橋 晃 静岡大学, 情報学研究科, 准教授 (40313928)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再認判断 / 新項目 / 反応時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では“正しい新項目判断(Correct Rejection)”がどのようになされているのかについて、基礎的研究により検討することを目的として実験を行った。 再認判断時には、旧項目の探索空間の大小により、旧項目判断のパフォーマンスは変化すると考えられたが、新項目判断のパフォーマンスについてはその影響が定かではなかった。そこで、再認判断時の記銘項目数を変化させることで、再認判断時の旧項目に対する探索空間の大きさを変化させる実験を行った。連想価31-50の無意味綴りにおいて、記銘項目数を変化させた6条件(24,36,54,72,90,108)を設け、最終再認判断の反応時間の分析を行った(有効参加者総数171名)。 結果として、24項目群から108項目群まで共通して、新項目が旧項目よりも約100ms長い反応時間を示していた。また、反応時間は24項目群が他の群よりも短かったが、36項目から108項目までの群間には統計的有意差がなく、一定の値をとっていた。交互作用は認められなかった。 新項目に対する反応時間が常に旧項目よりも常に100ms長いという事実は、新項目判断に対する処理プロセスが、旧項目判断に対する処理プロセスとは異なっていることを示唆していた。また、探索空間の大きさが変わっても反応時間が変わらないことから、少なくとも36項目以上の大きさの探索空間においては、人間は空間の大きさに依存しない形で検索を行っていることが示唆された。一方、24項目群においては有意に反応時間が短かったことから、比較的少ない項目数の場合には、36項目以上の検索時とは異なったシステムが支配的であることが示唆された。 このことは、従来からの「(新旧項目を統合した形での)単一システムによる記憶検索の理論」に疑問を呈する結果となった。すなわち、新旧項目は異なったプロセスによって処理されていると考えられた。
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