2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25590204
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大平 英樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90221837)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 実験系心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、バイオフィードバックの手法により心拍変動性を高め、これにより迷走神経系活動を亢進することにより脳と免疫系のストレス反応性を抑制することが可能か否かを検討することを目的としていた。 平成25年度には、まず10名の参加者を対象とした予備的実験を行い、心拍変動性バイオフィードバックの最適な方法を確立した。呼吸を1分間6回のペース(吸気4秒、呼気6秒)に統制し、参加者自身の心拍変動性をリアルタイムで観察する、10分間のバイオフィードバック訓練を、休憩を挟んで2回繰り返すことで、心拍変動性の低周波成分を頑健に増強できることが確認された。 平成26年度には、上記の知見に基づき、前年度に確立した方法による心拍変動性バイオフィードバック訓練を行う群(BF群)とこの訓練を行わないで安静状態を保つ統制群を設け、その期間の前後に、連続加算課題により急性ストレスを負荷し、そこにおける主観的ストレス感、心拍、皮膚伝導水準、唾液中コルチゾールと炎症性サイトカイン(IL-6)を測定する実験を、24名の参加者を対象として行った。その結果、バイオフィードバック訓練あるいは安静期間の前の急性ストレス負荷では、いずれの指標にも群間差はみられなかった。一方、バイオフィードバック訓練あるいは安静期間の後の2回目の急性ストレス負荷に対しては、BF群では統制群と比較して、主観的ストレスと炎症性サイトカインの反応性が有意に低減された。さらに、訓練あるいは安静期間中の心拍変動性低周波成分のパワー値が高いほど、2回め負荷に対する主観的ストレス感、炎症性サイトカインの値はいずれも低くなった。 これらの結果は、心拍変動性バイオフィードバック訓練により一過性に亢進された迷走神経系活動が心理的・生理的ストレス反応を抑制する効果があったことを示している。
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Research Products
(1 results)