2013 Fiscal Year Research-status Report
飼育チンパンジーにおける慢性的ストレスとなる要因の因果的解明
Project/Area Number |
25590205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺本 研 京都大学, 野生動物研究センター, 特任研究員 (50624061)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | チンパンジー / コルチゾル / ストレス / 生理学 |
Research Abstract |
京都大学野生動物研究センター熊本サンクチュアリで飼育されているチンパンジー59個体を対象に2013年6月、9月、12月及び2014年3月の合計4回、232例の体毛採取を行った。採取は、これまでの先行研究から採取部位内の変動が低いとされる腕から行った。コルチゾル濃度測定は、京都大学霊長類研究所及び野生動物研究センターで、2013年6月、9月、12月分、合計173サンプルの測定を終了した。 熊本サンクチュアリでの体毛中コルチゾル濃度測定体制の確立のため、2013年9月に体毛の粉砕機等を購入し、2013年9月採取分のコルチゾルの抽出までの操作を実施した。これまで測定を行っている京都大学野生動物研究センターでのデータとして比較して、熊本サンクチュアリで抽出した方が約30%低い値を示してはいるが、相関が取れていることが確認された。これで熊本サンクチュアリでも抽出までの操作を実施できる体制が整った。 チンパンジーの体毛の成長速度を測定するため、熊本サンクチュアリで飼育されている雄3個体、雌2個体を対象に、2014年1月から3月まで1ヶ月おきに体毛の採取を行った。採取された体毛の長さを測定した結果、体毛はほぼ直線的に成長し、5個体平均で1ヶ月に1.2cm成長していることが確認された。これによりストレッサーとの対応期間を推測することが可能となった。 ストレッサーの定量化として、2013年7月より異常行動、闘争及び闘争による怪我の有無の記録を開始し、定量化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた年4回のチンパンジーからの体毛の採取を終了した。コルチゾル濃度測定も順調に進み、データの蓄積が行えた。 ストレッサーとなると思われる飼育環境の変化を記録し、異常行動、攻撃行動などの観察、定量化も順調に進んでいる。 熊本サンクチュアリでのコルチゾル抽出までの操作が行える体制が整えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年3月に採取した体毛のコルチゾル濃度を測定し、1年間を通してのコルチゾル濃度の変化及び各ストレッサーとの対応関係を検討する。また、体毛採取及びコルチゾル濃度測定、行動観察、飼育環境の変化の記録を継続的に行い、データの蓄積を進めていく。 ストレッサーとの対応関係を見る場合、飼育条件の変化、群れ構成の変化などいくつものストレッサーが絡み合っているため、これを単純化する必要がある。必要に応じて環境エンリッチメントなどを行い個々の要素の影響を確認していくことも今後検討する。
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