2013 Fiscal Year Research-status Report
グローバル人材育成に資する多文化交流型授業のフレームワーク構築への挑戦
Project/Area Number |
25590214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 彩 北海道大学, 留学生センター, 准教授 (10326788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 麻衣子 北海道大学, 留学生センター, 講師 (10545627)
山田 智久 北海道大学, 留学生センター, 准教授 (90549148)
小河原 義朗 北海道大学, 留学生センター, 准教授 (70302065)
鄭 惠先 北海道大学, 留学生センター, 准教授 (40369856)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多文化交流 / 国際教育 / 高等教育 / 国際研究者交流 / オーストラリア / イギリス / 韓国 |
Research Abstract |
本研究は外国人留学生と日本人学生が異なるものから学びあう構造を持った多文化交流型の授業を開発するためのフレームワークを構築しようとするものである。以下は本年の主な活動である。 (1) 国内外の先行事例の調査・研究:オーストラリア(マードック大学)、イギリス(ロンドン大学等)、韓国(釜山外国語大学)の大学、研究者を訪問し、交流型授業の構造、実践上の課題について調査した。国内では外国人留学生に対する日本語教育を含む多様な設定、形態での交流型授業を中心に先行事例およびグローバル人材育成事例について情報収集した。また、日本語教育や異文化間教育を中心に関連文献の把握や収集を行った。 (2) 多文化交流型授業・行事の実践:北海道大学における「多文化交流科目」において、留学生との交流・協働学習を行う授業を実践し、そこから見出された課題について意見交換した。 (3) 研修事業等の実施:国際シンポジウム「留学生と日本人学生が共に学ぶ『多文化交流』型授業の開発」(2013年12月7日開催)において、研究代表者(髙橋)の司会のもと、多様な民族、文化背景を持った多くの学生が学ぶオーストラリアで多文化交流型の授業開発に取り組んだSophie Arkoudis氏よりその取り組みと成果を学ぶと同時に、研究分担者2名(鄭、山田)による交流型授業の取り組みについて事例発表を行い、オーストラリアとの比較から日本における多文化交流型授業の特色や課題について議論した。 その他、定期的にミーティングを開催し、研究メンバー間で調査報告を行うとともに日本語教育や協働学習、あるいはグループ学習を活用した授業に関する先行研究・事例の共有を行った。そこで得られた知見をもとに当研究の論点を整理し、ガイド冊子の項目について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度末に授業実践者が多文化交流型授業の開発において役立つようなものとしての仮のフレームワークを作成する予定であったが、本年の先行研究や海外調査の結果から、日本では多文化交流型授業開発の目的と前提条件に特徴があり、当研究チームでは、まずその状況分析と理論的整理を行う必要があるという認識に至った。よって、本年度の作業は、訪問調査や先行研究から得られた情報の整理と、日本で多文化交流型授業を開発するに際して検討すべき論点の洗い出しにとどまった。 オーストラリアやイギリスでの調査から、移民等により既に多文化化している社会と国際化過程にある日本の大学では、大学における多文化交流型の授業や留学生向け授業の前提や設定条件、目的が異なることから、海外ですでに行われている実践を先行モデルとしながら日本における多文化交流型授業を検討することが難しいことがわかった。よって、「ガイド冊子」の性格も含め内容・構成の検討をH26年度も継続することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度の研究から見えてきた論点をもとに、ガイド冊子の構成を検討し、分担して執筆に入る予定である。フレームワークの作成には多文化交流型授業の実践上の技術やコツを検討する以前に、この種の授業提供を行う前提の分析が不可欠であるということだった。つまり、日本の大学では一般的に外国人留学生や外国籍学生の比率が低いため、受講者が多文化・多国籍になるような授業設定の必要性やプログラムの構造化がこの種の授業開発の出発点になるということである。当研究では、授業の背景や前提の理論的な整理に比重を置いた方がよいのではないかという見方も出たため、H26年度前半にこれらの議論に沿ってガイド冊子の編集方針を確定する予定である。 フレームワーク作成とガイド冊子目次検討のための論点は次の通りである:①留学生と日本人学生の「交流」から生まれるもの/メリットは何か、②多文化交流型授業で前提とする「多文化」とは何か(「異文化」とは何か)、③多文化交流型授業の「効果」は果たして測れるのか、④多文化交流型授業にはどのような方略(教授法/授業方法)の活用可能性があるのか。(日本語教育における実践例、ICTやSNSを活用した教育の実践例、留学生教育における異文化間交流教育、海外での授業実践事例等を参考に) 以上の論点を踏まえながらH26年度前半に目次案を作成し、先行研究と調査、必要に応じて授業での実践とそのフィードバックを参考にしながら執筆項目を整理、多文化交流型授業を開発する教員の参考になるようなガイド冊子の完成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
オーストラリアからの招聘研究者の招聘時期が本人の別用務での来日時期と重なったため、渡航費用の全額ではなく一部(該当部分)を本研究費で支出することになった。 当初から計画していた国内事例の調査と情報収集、成果の発表等のための各研究者の旅費、ガイド冊子作成のための印刷費に加え、研究代表者が所属機関を移動したため、研究分担者との打ち合わせ(佐賀~札幌)に3回程度の出張を計画している。
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Research Products
(4 results)