2014 Fiscal Year Research-status Report
ナラティブ・ベースドな混合研究法による附属学校等の教育効果に関する調査研究
Project/Area Number |
25590226
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
佐長 健司 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (50253571)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 亜紀子 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (20549141)
村山 詩帆 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (30380786)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 附属学校 / 学校組織 / 教育力 / パーソナリティ / ナラティヴ / 定量分析 / 質的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究活動2年目となる平成26年度は、初年度である25年度の研究成果を発展させるように、インタビュー調査によるナラティヴ・データの蓄積、及びその分析を中心として進めてきた。特に、附属学校の卒業生との比較研究のために、一般校、あるいは「困難校」と呼ばれる高等学校の卒業生のナラティヴ・データを得ることもできた。さらには、国際的な比較研究の足がかりとなるように、海外の場合のナラティヴ・データを得るようにもした。また、分析に先立って、インタビュー調査の概要の報告会を開催した。 ところが、2年間の研究期間であり、研究成果をまとめなければならないのであるが、そこには至っていない。そのため、研究費の次年度使用額が発生し、その旨を申請した。 その理由は、当初の目的である理論的枠組みについての検討が進んでいないことが大きい。統計データやドキュメント等を活用しての定量分析とナラティヴ・データを活用しての質的分析(定性分析)との接続、統合については、十分に新たな知見が得られていないのである。 研究課題にあるように、「ナラティヴ・ベースドな混合研究法」なのであり、新たな研究パラダイムの確立を求めるものではない。それでも、ナラティヴ・データを中心にしながら、統計データやドキュメント等の効果的な活用による、一方だけのデータでは可能にならない分析について明らかにしなければならない。このことが、大きな理論的な課題であり、研究費使用の延長を求めた理由の1つであり、平成27年度研究活動の重点事項である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度では、さらに追加してインタビュー調査を行い、多様なナラティヴ・データを得ることができている。附属学校の卒業生と比較するために、「困難校」と呼ばれる高等学校の卒業生、海外の事例、あるいは附属学校における教育実習生のナラティヴ・データ等である。この点では、これまでの研究の発展を促すデータが蓄積されたと言えよう。 一方、理論的枠組みについての検討を精力的に進めようとしているが、十分ではない。すなわち、統計データやドキュメント等を活用しての定量分析とナラティヴ・データを活用しての質的分析(定性分析)との接続、統合については、一部の試みがなされているにすぎないのである。 たとえば、インタビュー調査において、ドキュメント資料を活用するような試みである。また、ナラティヴの分析において、も同様である。全国的な統計資料のようなデータと結びつけてのナラティヴの分析などを試みるようにしたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述の達成度と課題からすれば、統計データやドキュメント等を活用しての定量分析とナラティヴ・データを活用しての質的分析(定性分析)との接続、統合についての検討が強く求められる。そのため、ナラティヴ・データの分析において、具体的に統計データやドキュメント等のデータを活用することをいくつか試みるようにしたい。 もちろん、理論レベルで検討することも必要であるが、新たな理論的パラダイムを構想することは困難であろう。それには、相当の時間と多数の多様な研究者の参加による議論の蓄積が必要であり、1つのグループの数年の研究活動が可能にするはずはないからである。 ただし、本研究では「ナラティヴ・ベースドな混合研究法」というように、限定している。すなわち、統計データやドキュメント等を活用しての定量分析とナラティヴ・データを活用しての質的分析(定性分析)との統合ではなく、後者を中心としながら前者をも補助的に活用しての研究なのである。このような限定のなかで、新たな研究手法の開発を求めるようにする。 そこで、すでに行っているナラティヴ・データの分析も見直し、統計データやドキュメント等をも加えて、再度の分析を行うようにしたい。また、その結果についても、研究会を開催し、新たな研究手法の開発を論点として議論するようにしたい。
|
Causes of Carryover |
平成26年度が研究助成の最終年度であったが、研究活動に遅れが生じているため、その延長を申請した。その理由の第1は、理論的枠組みについての検討が進んでいないことである。統計データやドキュメント等を活用しての定量分析とナラティヴ・データを活用しての質的分析(定性分析)との接続、統合については、十分に新たな知見が得られていないのである。ナラティヴ・データを中心にしながら、統計データやドキュメント等の効果的な活用による、一方だけのデータでは可能にならない分析について明らかにしなければならない。 第2は、附属学校の卒業生と比較するために、「困難校」と呼ばれる高等学校や海外の場合のナラティヴ・データを得たが、それらについての分析を進めることである。これまでの研究の発展を促すデータが蓄積されたが、その分析が完了していない。特に、第1の理論的な枠組みの検討とリンクさせて行うことが求められると言えよう。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述の当該理由からすれば、理論的枠組みの検討と新たなナラティヴ・データの分析を行うための研究会を開催することが必要であり、そのための経費が欠かせない。また、そこで得られた研究成果を広く問うために、学会等での研究発表を行うことが必要であり、そのための旅費として研究助成金を使用したい。さらには、それらの研究発表での成果をまとめ、報告書を作成したいので、そのための経費にも使用するようにしたい。
|
Research Products
(2 results)