2013 Fiscal Year Research-status Report
「苦難」をめぐる北海道家庭学校寮長藤田俊二日誌の教育思想史的研究
Project/Area Number |
25590227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河原 国男 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (00204751)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育思想史 / 北海道家庭学校 / 藤田俊二 / 苦難 / 日誌 |
Research Abstract |
1.藤田俊二自身の日誌のデータベース化を進めた。平成25年度において、初期のM.S(1966.5.31入所)、中期のY.H(1981.3.12入所)、後期のT.W(1986.8.25入所)Y.S(1988.12.26入所)、A.Y(1988.12.5入所)、以上5名について入力した。合計、21名の日誌の入力が終了した。 2.生徒の日記の一部について、データベース化を進めた。同上5名の日誌に添付された生徒の日記から、その一部について入力した。 3.藤田俊二へのヒヤリング調査を実施した。北斗市千代田の自宅を平成25年11月4日、5日訪問した。① 現在時点の年譜的事実を確認した。② 資料を配付しつつ、研究の進捗状況を報告した。「藤田俊二日誌一覧」(整理番号、氏名、入校年月日、卒業・退校年月日、備考欄、A4×12 頁)など提出した。③いくつかの問題点を確認した。すなわち、1)現在研究室で保管している藤田日誌全体を研究終了後、どこに保管するかについて確認した文書「誌」(1枚2010年9月11日付け)を、現時点で藤田と研究代表者(河原)とで見直し、内容の一部を修正した。2)生徒日記のために藤田自身が設定した、「自分の笑顔について」(1967.1.29)から始まり、「今学期の希望」(1990.1.17)までの題目一覧(1967年~1990年までの年次別)を見ていただき、藤田自身の取組の推移について自己認識をうかがった。3)主題にかかわる苦難の事実認識を相補う、子どもの日常生活のなかの「ユーモア」の発見を記述した日誌の一部資料を藤田氏に見ていただき、この主題設定が妥当かどうか、藤田の認識をうかがい、妥当であることを確認した。以上①、②、③に関する藤田の発言内容について、動画によって記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、平成25年度は日誌の解読(重要な内容が記された日付の確認)とそのなかからのデータ入力を中心としている。パソコンへのその入力作業は、短期雇用者を活用して、順調に進んでいる。25年度は145名中の5名分であるが、全体として、前期8名、中期7名、後期6名の入力が済んだことになる。 当初計画にあった学籍上の確認事項(入力対象の日誌のうち記述が、突然中断しているケースがある件)については、北海道家庭学校の理事の一人、名寄短期大学の家村昭矩先生に、その理由と退所の年月日を確認していただいた。本来は、研究代表者が家庭学校に出向いて調査する予定であったが、同校が改築中で資料確認は不可との連絡を受けたため、やむを得ず、同校の理事に特段の取り計らいをお願いした次第。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して、日誌の読解とともに、入力作業を進める。とくに1970年代後半から1980年代の前半の10年間の日誌を中心に取りあげる。 当初計画では、ヒヤリング調査を予定していたが、4月はじめ咽頭癌手術で函館病院に入院中との連絡があったことから、実地訪問調査が可能かどうか、現時点では判断できない。藤田氏の健康状態をうかがいながら、必要な追加調査を行う。 すでに年譜は発表しているが、全日誌一覧と発表論文目録等の書誌情報については未発表なので、今年度中に紀要等に発表する方向で準備する。 不遇ゆえの「不当な」苦難について、どのように藤田が探求し、掘り下げたかを日誌及び関連資料を通じて論文発表する。関連して、少年の生活事実にどのようなユーモアが見出されているか、についても、藤田の記述を辿って論文としてまとめるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
藤田俊二本人への訪問調査は、当初計画では2回実施する予定だったが、1度しか実施できなかった。その点の経費を執行することができなかったことが主たる理由である。附属小学校長及び附属幼稚園長を兼務することになったため、当該研究テーマに取り組むエフォートが下がったことによる。 日誌のデータ入力の作業要員を複数名に増強するとともに、今年度は、藤田俊二本人に関連する人物にも訪問調査しながら、所定の配分額を過不足なく執行する。
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