2016 Fiscal Year Annual Research Report
School Legal Responsibility in Natural Disasters
Project/Area Number |
25590228
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
田中 洋 琉球大学, 教育学研究科, 教授 (00381195)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校安全 / 災害安全 / 安全配慮義務 / 学校保健安全法 / 危機管理マニュアル / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011(平成23)年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の太平洋側3県(岩手県、宮城県、福島県)を中心に、死者15,893人及び行方不明者2,553人(2017年3月10日警察庁)という甚大な被害をもたらした。学校現場においては、特に金曜日の午後2時46分という発生時刻が、事態をより深刻にしたことは否めない。そのため、子どもを含む学校関係者についても、死者659人及び行方不明者74人(文部科学省「東日本大震災による被害情報について(第208報)」2012年9月14日)という、これまでにない多大な犠牲を生じることとなったのである。 この大災害から我々が学ぶべきは、地震や津波に対して、学校をこれまでよりも安全な場所とし、少しでも被害を少なくすることであろう。そのために、学校の災害安全に対する備えとして、どのような法的制度が求められるのか、その現状と課題について検討を試みたのが、本研究である。 学校の災害安全に対する法的枠組としては、学校保健安全法が基本となる。しかし、この法律が、学校安全の基本法として学校保健法を改正する形で制定されたのは、2008(平成20)年であり、まだ制定から日が浅いため、それを補うものとして、学校教育に関わる裁判例を利用した。 分析の中心としたのは、学校を当事者とする自然災害に関わる裁判例である。そのような裁判例は、これまでは必ずしも多くはなかったが、東日本大震災に関連して裁判例も増加し、その分析を行った結果、災害安全に関して学校が問われる法的責任については、2つの重要な点が明らかになった。1つは、情報収集義務の重要性であり、もう1つは、子どもの発達段階・状況に応じた対応の重要性である。 これを受けて、学校保健安全法が各学校に作成を義務づける「危険等発生時対処要領(危機管理マニュアル)」について、いくつかの課題も明らかとなり、今後、教員研修等で学校現場への還元を図る予定である。
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Research Products
(2 results)