2014 Fiscal Year Research-status Report
初等教育段階における代数的思考の育成カリキュラム開発
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25590259
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
藤井 斉亮 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60199289)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 擬変数 / 数字の式 / 文字の式 / 文字式 / 課題開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
初等教育段階において、文字a,xなどを用いた「文字の式」は一般性を表現できるが、数字を用いた「数字の式」ではそれができない、という思い込みがある。だが、数学史をみると、文字表記が充実する前では、一般性を含意して論を展開する際は「数字の式」を用いていた。本研究では、このような「数字の式」において一般性を含意している数を擬変数と命名する。 本研究の目的は数学史における擬変数の機能に焦点をあて、規範的に教材を開発し、代数的思考を育成するカリキュラムを開発する。さらに授業実践を行い、初等教育段階における代数的思考育成カリキュラムを擬変数の役割と機能に着眼して規範的・実証的に開発する。 当該年度は、各国で活発に模倣されているわが国の授業研究(Lesson Study)の文脈において、授業課題の吟味における擬変数の役割に焦点を当てて研究を展開し、国際会議で発表し、その成果がSpringer社から近日中に公刊されることになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、「数字の式」に着目し、授業研究の文脈において、特に授業課題の設計を擬変数の視点から行った。その結果を国際会議で発表し、論文がTask Design in Mathematics Education という書籍の一章を構成することになったが、開発した授業課題の数が当初の計画より下回り、開発が十分に行われたとは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
各国から高い評価を得たので、引き続き授業研究の文脈で授業課題の設計・開発を擬変数の視点から展開していく。また、数学史を参照して擬変数の機能・特性をより一層明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
実験授業の実施に至る前段階において、授業課題開発自体をその過程に焦点を当てて、国際会議で発表し、高い評価を得たことで、研究の方向を授業研究の文脈における授業課題開発とし、それを擬変数の視点から展開したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
授業研究の文脈における課題開発を擬変数の視点から行うことは海外では行われておらず、今後、「数と計算」領域だけでなく、「量と測定」「図形」「数量関係」領域に研究対象を拡大して、計画的に展開していく。また、国内外での研究発表を計画的に実行していく。
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