2013 Fiscal Year Research-status Report
情報介入と行動介入による段階的、発展的な金融リテラシーの醸成に関する研究
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25590260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
竹本 拓治 福井大学, 産学官連携本部, 准教授 (30542104)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金融教育 / 金融リテラシー / 行動介入 / 情報介入 / シリアスゲーム |
Research Abstract |
金融経済知識が現代の社会生活を営む上でヒトに必要なリテラシーであることを踏まえ、本研究では欧米における教養ならびに投資学としての金融教育の流れ、近年のグローバル経済を意識した東アジア諸国の教育政策、急速に資本経済が拡大する東南アジア中進国の経済ならびに教育動向をサーベイしつつ、わが国における金融リテラシー教育のあり方を確立する。 平成25年度の研究を推進するにあたり、正しい金融知識の提供によってヒトは必ずしも合理的に行動しないという行動経済学的な立場と、その一方で伝統的な経済学の立場を複眼的に捉え、その上で学際的な視野から下記に焦点を当てた。 1わが国における金融経済教育の取り組み実践の調査、2金融経済教育と隣接領域(1)キャリア形成(2)アントレプレナーシップ教育の関係性、波及性、3金融経済教育における情報介入と行動介入の調査、4東南アジアの学校教育における事例調査、5行動介入としてのゲームの応用可能性の調査 わが国における金融経済教育では情報介入による実践が中心である。しかしキャリア教育等と重複した部分においてはその枠を超えた取り組みも見られる。金融経済教育はリテラシーという点でキャリア形成に密接に関係するとともに、一部は起業知識等のアントレプレナーシップ教育にも波及する。金融経済教育にゲームを応用する点について、わが国とわが国以外のアジア諸国では若干のシリアスゲームに対する認識が異なるものの、既に実現されている部分もあり、学習者の能動性と共に、より教育効果を高める可能性が多分に存在する。 これらの成果について、産業界との対話も交え推進するとともに、金融教育、経済・市民教育を主たるテーマとする国内外の学会等、論文、一般講演として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国際的な動向については、英米の事例における文献調査、ならびにアジアの中進国であるタイの学校教育および東南アジアの資本経済化に関する実地調査により、平成25年度に予定していた内容をすすめることができた。またわが国の金融リテラシー調査についての文献調査、本務校の授業における調査、学校教員を対象とした授業における調査において、日本における世代別カリキュラムの方針設定を行った。 これらの成果の一部は既に、1大阪商業大学で行われたパーソナルファイナンス学会西部部会(5月)「タイの日系消費者金融業普及における金融教育的諸要因の探索―プロミス・タイランドのケーススタディーを通じて」、関西学院大学で行われた同学会全国大会(10月)「最低賃金値上げ以降のタイ日系消費者融企業における人材開発の必要性-経営現地化モデルと『求められる人材像』」というタイトルにて、金融リテラシー教育の国際的な趨勢を産業側から模索した成果を発表したほか、2University of Auckland (New Zealand)で行われたInternational Association for Citizenship, Social and Economic Education(7月)における“Online Game Gives Economic and Financial Literacy Efficiently”と3Sripatum University で行われたSripatum University Conference 2013(12月)の“The financial-economy Education in Japan”において発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
行動介入の要素を入れたゲームを用いた教育システムの作成を進めるとともに、1年目に行なった国際的な動向、日本におけるリテラシー調査について補完的なデータ収集を行う。今後必要と考えられるのは、欧米先進国における金融教育の実地調査、ASEAN経済統合が市民の金融リテラシーに与える影響を踏まえた東南アジアの教育同行の調査である。これらの結果から、日本における金融教育カリキュラムの構築を行い、ゲームシステムへの反映を試みる。その中で諸外国の行動介入による教育例を参考に、わが国での応用可能性についても検証する。 以上より行動介入における金融リテラシー教育カリキュラムの構築が完了すると、次にそのシステムを用いたデータ収集を行う。ゲーム操作者の行動履歴に対し予め実装された情報にて解析するゲームの仕様を想定し、その出力による教育評価ならびにアドバイスが可能になるようにバグチェックとデータ修正を行う。 また引き続きIACSEE ( International Association of Citizenship, Social & Economic Education)などの国際学会やパーソナルファイナンス学会、その他国内外の研究会を通じ、その成果発表と他の研究者との意見交換を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
端数のため。 端数金額であるため、次年度に合算して使用予定である。
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