2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25590269
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
川崎 謙 高知工科大学, 工学部, 教授 (00116451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 認識論 / 理科授業 / 教授言語 / 世界観 / メタ言語 |
Research Abstract |
研究環境の整備:当初の実施計画に従って、交付申請書に記載した二人の研究協力者を中心として、授業の発話記録(プロトコル)の記録に協力する研究協力者集団を組織した。それを受けて、既有の機器を補充する形で必要機器を購入した。また、各種(公立及び附属)の複数の小学校教諭に授業記録の依頼を行い、記録日時等の調整を行った。 データの収集:本研究の基礎データとなる授業記録は、25年9月から26年2月にわたって、計16時間 (45 分×16) 収集した。この記録は、小学校理科の「物質・エネルギー」と「生命・地球」という二つの領域をほぼ均等に網羅している。これらのビデオ記録を基に、音声データを文字化しプロトコルを作成した。これらの文字データには、授業に関与している個人すべての人権を考慮し、授業者及び児童の名前等の固有名詞は一切含まれていない。本研究は、この文字データを基礎データとして取り扱う。現在、これら文字データの解析を進めている。 成果の報告等:25年5月にDavao Cityで開催されたInternational Association of Multidisciplinary Research 主催World Research Festival 2013において “Comparatist Mind for a Sustainable World”と題する招待講演を行った。この講演の趣旨は、自然科学に対して科学教師が持つべき態度を議論したもので、本研究主題の基礎を与える。講演終了後の質疑において、本研究の国際的位置づけを再認識することができた。加えて、認識論的に望ましい理科教師の持つべき態度から派生する児童への支援を論じた学術論文「自己の思考の変容に対する気づきを促す手法」を日本科学教育学会の『科学教育研究』第38巻1号2-11頁 (2014) に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、研究協力者の中城満高知大学講師の尽力で、現職の(小中)理科教師からなる研究協力者集団が組織された。また、記録機器の整備及び試験的な授業記録遂行に続いて、本格的なデータ収集を9月に始められたのも、ほぼ予定通りである。従って、今年度はこれを補う形で(もし必要なら)4-7月に実施される授業記録を収集する予定である。 収集された授業記録から、いわゆるメタ言語を取り出す作業の枠組みを与える欧文論考は既に完成しており、現在外国の同僚研究者の助言を求めつつ発表形態を模索中である。 この枠組みに従ってメタ言語を取り出し、その機能を分析することは本件研究の中心となる作業であるが、現在実際のデータを眼前にしてその予備的考察を行っている。この予備的考察を可能にするというのが25年度の計画であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行するにあたって必要な機器は、昨年度にほぼ購入を終わっており、必要機器の購入は補助的なものに限られるはずである。したがって今年度の物品購入は、収集されたデータの整理に伴う文具・PC 関連ソフト等及び関係図書が中心となるはずである。 本研究にとって幸運だったのは、研究協力者の一人である中城満氏(高知大学教育学部講師)が、挑戦的萌芽研究「理科授業におけるメタ認知能力育成を意図したパフォーマンス評価の導入」(平成25~27年度)に採択されていることである。このことを考慮して、本研究の最終年度に当たる26年度は、中城氏との連携をより一層強める形で研究を推進する。中城氏の必要とする基礎データも授業プロトコルであり、二つの挑戦的萌芽研究は、共有するデータの異なる視点からの分析という特徴がある。これら二つの研究は、比較文化論的観点から理科授業の改善を試みる際の理論的基礎を本研究が与え、中城氏の研究がその実際的側面を担うという形で互いに深く係わり合っている。 その当然の結果として、これら二つの研究の成果は連名で行われ(研究実績の概要に挙げた「科学教育研究」所収の論文もその一例である)、2014年7 月2-4日にかけてMelbourne (Australia)で開催される国際学会での発表を連名で登録している。 これらと並行して、昨年度と同様に授業記録の収集も計画している。これらのデータから新たに得られた知見は、国内の学会(日本理科教育学会及び日本科学教育学会のいずれか或いは両方)において発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として算出されたのは、¥1000以下であり決算の端数によるものである。 最終年度である平成26年度の使用計画80万円分: 研究成果報告のための海外出張2回(オーストラリア、ラオス)およそ各35万円。また、国内出張2回(松山市、大宮市)計およそ5万円を予定。 残額は、補助的に購入する物品費(図書、文房具等)に充てる予定である。
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