2013 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児におけるパソコンを用いた概念形成学習および達成度評価システムの開発
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25590285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
冷水 來生 京都教育大学, 教育学部, 教授 (00154310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 概念学習 / パソコン / 自閉症 / タッチパネル |
Research Abstract |
自閉性障害や発達障害を有する子どもの概念発達に関する発達心理学、認知科学的研究の資料および情報の収集を、本学データベースEBSCOや札幌における日本心理学会、東京大学等で行った。これらの知見を取り入れながら、概念学習プログラムの基本設計を考案した。さらに上記構想をプログラム開発協力者や、この領域における専門家に伝え、調整を行いながら概念学習プログラムの開発を開始した。第一段階として、対象児たちは写真、線画のうちどの刺激による情報処理が効果的かを見る。さらに概念が未形成の対象児たちは、どのような次元によって刺激をカテゴライズしているのか、その傾向を見る。可能ならばいくつかの反応パタンによって分類する。このため、ターゲット1項目と、それに対する3要因のディストラクター3項目からなる課題を30試行、それぞれ人工物、自然物の2カテゴリについて授業受講生の協力を得て作成した。これら240項目について、大学院生および非常勤職員に、それぞれ線画図版、写真図版の作成とスキャナーでの取り込みを依頼した。 またこれとは別途に、協力校の開拓に着手し、近隣の公立特別支援学校に協力を依頼した。最初の説明会では協力の内諾を得たが、後日呼び出され、保護者との連絡方法等を問われ、その後協力できない旨通知を受けた。その後他府県の支援学校の協力も取り付けたが、翌年度に入り校長の交代に伴って断りの連絡を受けた。現在、さらに別の支援学校に打診を試みる予定である。最終的に不調の場合は、とりあえず概念未発達の普通幼児に実施し、発達による一般的な傾向を見る。このデータは統制群のデータとして分析に活用する。それとともに、支援学校の協力が得られれば、即時に障害児を対象とする研究に着手できるよう、実施環境を整備しておくことを心掛けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度夏から協力校の開拓に着手し、近隣の公立特別支援学校に協力を依頼した。最初の説明会では協力の内諾を得たが、後日呼び出され、保護者との連絡方法等を問われた。後日協力できない旨通知を受けた。その後他府県の支援学校の協力も取り付けたが、翌年度に入り校長の交代に伴って断りの連絡を受けた。現在、さらに別の支援学校に打診を試みる予定である。 また、外注した絵画図版、写真図版のうち写真図版の出来栄えが悪く、平成26年度夏をめどに作成しなおすことに決定した。このため、当初は絵画図版のみによって研究を実施する予定である。主としてこれらの理由から、研究の計画通りの実施が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
最初の段階では、開発された概念形成プログラムを組み込んだタッチパネル式ノートパソコンを協力校に貸与し、自閉性障害・発達障害を有する対象児に対して概念学習プログラムを実施する。まず最初は正答のフィードバックを行わず、対象児の反応傾向を見る。すなわち、概念未形成の対象児では、ターゲット刺激のどのような特徴によってディストラクター項目を同じとみなすかを見る。また絵画刺激、写真刺激どちらの処理が効果的か、自然物と人工物ではどうかを見る。さらに同一傾向を示す対象児の群化は可能か、これら諸変数の発達的傾向はみられるかを検討する。第二段階として、同一概念に属するディストラクター項目を正答として、正答を選択した反応にはフィードバックを与える。この学習セッションを一定期間にわたって繰り返すことにより、概念の学習を促し、その効果を分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
写真図版、絵画図版の作成およびパソコン・プログラムの作成のための謝金の支出請求(合計約40万円)は、当該年度中(平成25年3月上旬)に行ったが、迅速な執行が行われなかったため、支払いが翌年度に持ち越された。また、協力校が受け入れを一度は承諾しながら後に断わってくるなどが重なったため、次善の対策に追われるなどした。その結果として全般的な研究計画の進捗に停滞が生じた。 また、実験用PCに使用するOS、Windows8.1がバージョンアップされる予定であったため、様子見が必要であった。このため、実際の実験用PC購入に遅れが生じ、次年度となった。 現在、パソコン・プログラムは第一次の開発を終え、研究の実施を待つ状態である。協力校の開拓は現在も続行しているが、不調に備えて複数の選択肢を用意している。これにより、当初の研究目的の達成に向けた方向性は確保されている。したがって、大枠での研究目標は達成できる見通しである。
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