2015 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症児におけるパソコンを用いた概念形成学習および達成度評価システムの開発
Project/Area Number |
25590285
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
冷水 來生 京都教育大学, 教育学部, 教授 (00154310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発達障害児 / 概念学習 / タブレット・パソコン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,自閉スペクトラム症などの発達障害児において,概念学習の促進に寄与する刺激条件を明らかし,これらの外的要因と,知的水準,言語習得度などの個人内要因との相互作用の分析を通じて,個人のタイプ別の最適学習条件を解明することである。学習課題に用いる刺激としては,子どもにとって親和性のある自然物及び人工物から各15項目を選び,ターゲット刺激項目とした。これらの各項目に対し,同一概念内にある,連合する,視覚的に類似する,の各1項目からなる3つの選択肢項目を選定した。これをもとに写真,線画,彩色した線画の3種類の概念学習課題を作成し,各種類と対象児の個人内要因との交互作用を分析できるようにした。対象児は,ターゲット刺激項目と「同じ」選択肢項目を指摘することを求められた。教示は練習課題とそれに対する正反応のフィードバックにより,非言語的にも理解できるようにした。また,課題提示,反応記録はすべてタブレット・パソコンにて自動的に行った。課題は同一児に対しおおむね週1回,計4回行い,各提示条件,対象児における個人条件別学習効果の分析を可能にさせた。 障害児の概念学習に関しては, 2014年10月~12月,放課後デイサービスに通う特別支援学校小学部2~3年生4名(いずれも男子)について予備実験を行った。ここでは時間的制約等により,線画刺激条件のみ課題を行った。この結果は,2015年9月の日本心理学会第93回大会において報告した。 本実験は2015年8月~10月,別の放課後デイサービスに通う対象児も含め,写真課題を8名,彩色した線画課題を4名,線画課題を8名についてそれぞれ実施した。対照群普通児に関しては,2016年2月中旬,幼稚園年少,年中,年長児の各クラスに対し,写真,線画,彩色した線画の3条件につき各10名,全90名に対して課題を行った。これらの結果は漸次紀要,学会誌等に投稿予定である。
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