2015 Fiscal Year Research-status Report
大学におけるギーク症候群の実態とインクルーシブ教育の可能性の検証
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25590289
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
片田 房 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70245950)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ギーク症候群 / 理工系学生群の科目嗜好 / 途上国との比較対照 / 社会性発達障害 / グローバル化時代の五基礎技能 / ELF vs. ENL / ESP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の3年目である平成27年度は、以下に掲げる活動を国内外において遂行した。 1. 国内においては、理工系学部生を中心に前年度までに実施した「大学生気質、嗜好科目、批判的思考性/自己効力性志向」に関するアンケート調査を続行すると共に、調査対象を理工系以外の学部生にまで拡げ、調査結果の相対化を図った。 2.前年度にフィリピン共和国ミンダナオ島の大学にて実施し、得られた約1200名の学生のデータと、上記1で得られた国内のデータを、学生気質と嗜好科目を中心に比較分析を行った。その結果、学生気質には理工系学部と文系学部に在籍するそれぞれの学生群の間に顕著な相違はみられなかった。また、先進国(日本)と途上国(フィリピン)の間にも顕著な差はみられず、大学生一般に若年層特有の自閉的傾向があるという結果が得られた。しかし、専門科目と語学(英語科目)を中心とする嗜好科目調査においては、先進国(日本)の学生は在籍する学部の専門性に強い一方、語学科目には苦手意識を抱いている傾向が明確となった。一方の途上国においては、ほぼ逆の結果となった。このような差の起因を求め、言語環境と思考・認知の発達、ひいては国力に及ぼす言語能力等を巡る新たな研究テーマが発生した。 3. 国外においては、途上国の調査結果の相対化を図るため、調査対象をマニラ都市部にまで拡大し、400名余りのデータを収集した。 4.上記2の成果を国内外の研究会や学会で発表し、グローバル化時代に要請されるコミュニケーション能力と効果的な言語運用能力像を呈示した。特に世界共通語としての英語(English as a Lingua Franca)と自然言語としての英語(English as a Natural Language)の言語学的な相違を明確にし、ELN運用能力をグローバル化時代の五基礎技能のひとつに位置付ける必要性を呈示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
途上国の状況をより客観的に解釈するため、フィリピン共和国におけるアンケート調査をマニラ都市部の大学にまで拡大し、2015年12月から2016年2月にかけて実施した。現地の研究協力者によるデータ収集とデータ入力が適正に行われたことの研究代表者による確認作業が日程上2016年3月中旬になったため、本研究の総合分析が翌年度(2016年度)にずれ込むことになった。このため、当初の本研究補助事業期間(2013-2015)の延長を申請し、2016年度にすべてを完了することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集は完了した。2016年度は統計的分析(特に気質的傾向と批判的思考力及び自己効力性の志向傾向との相関性に関する分析)を進め、本研究の最終的な完成を目指す。 本研究の最終成果を国内外の学会・研究会にて発表し、論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
途上国の状況をより客観的に解釈するため、フィリピン共和国におけるアンケート調査をマニラ都市部の大学にまで拡大して行った調査の最終確認作業が2016年3月中旬になったため、本研究の総合分析が翌年度(2016年度)にずれ込むことになった。当初計画したデータの統計的総合分析及び本研究の最終成果報告に費やす費用が当該助成金となって生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の最終段階であるデータの統計的総合分析と最終成果発表のための学会出張に使用する。
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Research Products
(7 results)