2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25600002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
立間 徹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90242247)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プラズモン誘起電荷分離 / プラズモン共鳴 / 金ナノダンベル / 銀ナノキューブ / 三次元加工 / 酸化チタン / FDTD計算 |
Research Abstract |
提供を受けた化学合成金ナノロッド(棒状ナノ粒子)を酸化チタン薄膜上に載せ、金ナノロッドの両端に光電気化学的に金を析出させることにより、ダンベル状金ナノ粒子へと3次元加工する方法を開発した。このナノ粒子では元となる金ナノロッドと同様に、短軸モードと長軸モードという二つの局在表面プラズモン共鳴モードが、異なる波長で観測された。吸収ピーク波長は金ナノロッドと同等ながら、数倍の光吸収強度を持つ。また、金ナノロッドに比べ、酸化チタンとの電気的な接触に優れるため、プラズモン誘起電荷分離に基づく光電位応答が、金ナノロッドと比べてはるかに速い。そのため、センサなどのデバイスへの応用に適すると考えられる。 また、キューブ状の銀ナノ粒子を合成し、これを酸化チタン薄膜に載せて3次元加工を試みようとしたところ、酸化チタンに載せた状態で、異方的な散乱という特殊な光学特性を示すことが明らかとなった。まずこのことについて、種々の膜厚で吸収及び散乱スペクトルの実測およびFDTD計算を行い、系統的な解析を行った。 また、キューブ状銀ナノ粒子を酸化チタンに載せた状態で、電子振動がナノ粒子の上面付近に局在化したモードと、下面付近に局在化したモードという二つの局在表面プラズモン共鳴モードが、異なる波長で観測された。それぞれを選択的に励起することにより、異なる形状変化を示すことがSEMにより確認され、また異なるスペクトル変化を示すことが分光吸収測定により確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プレート状粒子の穿孔などの加工には着手できていないが、これはキューブ状銀ナノ粒子の特殊な光学特性を見出し、これについて優先的に研究を行ったためである。また、次年度以降に着手する予定であった金ナノ粒子の加工を前倒しで実行した。これは、応用の観点から、より安定な粒子を使用したかったためである。このように、当初の予定より遅れている部分と進んでいる部分、想定外の発見とその解明を行ったことがあり、計画全体から見た達成度を定量的に評価するならば、概ね計画通りといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化チタン薄膜に載せたキューブ状銀ナノ粒子の3次元加工について、引き続き研究を推進する。その際、照射する光の波長、入射方向、偏光方向などと電子の振動が局在する部位などについて十分注意し、FDTD計算も併用しながら行う。とくに、銀ナノ粒子が基板と接触する部分の加工が可能かどうか、注意して検証する。また、AFMなどのチップを用いた加工を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の通り、本年度は、酸化チタン薄膜にキューブ状銀ナノ粒子を載せた際に、異方的な散乱という特殊な光学特性を示すことを見出した。この現象は想定外かつ、たいへん興味深く、応用の可能性を含むものであるため、まずはこの現象について優先的に解析を行った。その分、AFMのチップを用いた加工の本格的な着手は次年度としたため、AFMチップの購入や加工に要する費用や、それに関連する費用は、次年度に使用することとした。また、学会発表なども遅らせることとしたため、一部は次年度に使用することとした。 研究の進捗状況合わせ、三次元加工に必要なAFMチップの購入および関連費用として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)