2013 Fiscal Year Research-status Report
応力印加REM-AFMホルダーの開発と歪と誘電特性の解明
Project/Area Number |
25600017
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 賀公 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90362665)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 表面界面物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超高真空電子顕微鏡内で駆動する原子間力顕微鏡特殊ホルダーを開発し、表面に発現するマクロな応力場が原子構造やその結合状態、電荷秩序にどのような影響を与えるのかを解明することである。残念ながら、超高真空電子顕微鏡内で駆動する原子間力顕微鏡特殊ホルダーを開発には設計段階で時間を要したため、完成までにまだ時間を要している。 一方、表面の局所電位や電荷分布を高感度に捕らえることの出来るケルビンプローブ力顕微鏡法(KPFM)の開発を行った。KPFMは探針と試料表面原子間との間に働く相互作用力を検出する。しかし、この相互作用力の中には探針試料間にトンネル電流が流れることによって生じる相互作用力も含まれており、純粋な表面の局所電位や電荷分布の計測ができているのか問題(ファントム力の存在)があった。そこで、新しい手法(ロックイン検出で2つの変調周波数を利用)を考案し、それ基づくKPFM法の開発に取り組み、ファントム力をほぼ除去することに成功した。また、固体表面の物性を局所電位や電荷分布をさらに高感度を原子スケールで取得する技術の開発に取り組み、表面の(エネルギー分解能が数meV)に捕らえることの出来るヘテロダイン周波数変調ケルビンプローブ力顕微鏡法の開発に成功した。これら2つの新しい手法を用いて高感度に表面の局所電位や電荷分布ができるようになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、超高真空電子顕微鏡内で駆動する原子間力顕微鏡特殊ホルダーを開発しなければならない。しかし残念ながら、原子間力顕微鏡特殊ホルダーの開発には時間を要しており遅れている。一方で、固体表面の物性を局所電位や電荷分布を高感度を原子スケールで取得する技術の開発に取り組み、表面の(エネルギー分解能が数meV)に捕らえることの出来るヘテロダイン周波数変調ケルビンプローブ力顕微鏡法の開発に成功した。さらに、原子間力顕微鏡探針と試料表面原子が近づいて時に流れるトンネル電流が与える悪影響(純粋な表面の局所電位や電荷分布が取得できない)を除去するため、新しい手法(2重周波数を利用した)に基づくケルビンプローブ力顕微鏡法を開発した。これら2つの新しい手法を用いて高感度に表面の局所電位や電荷分布ができるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、超高真空電子顕微鏡内で駆動する原子間力顕微鏡特殊ホルダーを早急に完成させる。その後、誘電性材料であるAl2O3薄膜表面を用いて、反射電子顕微鏡(REM)と原子間力顕微鏡(AFM)の同時観察を行う。試料表面には結晶欠陥や転位から生じる応力歪場が存在する。REMはサブマイクロスケールで広がる10-4程度の歪場を検出可能であるため、応力歪場の位置を同定できる。歪場付近での原子スケールの弾性特性(結合状態)は多周波数モードAFM法を用いて観測する。これら応力歪場に対する原子結合状態との関係を解明する。 応力印加機構を使用して、Al2O3/NiAl(110)試料表面に引張応力を発生させる。この引張応力が試料表面でどのように緩和されるか、また結晶欠陥や転位から生じる歪がどのように変化するかREM観察する。それと同時に多周波モードを使用したAFM観察を行い、原子構造の変化や弾性状態の変化をあわせて観測し、応力歪場印加に対する表面歪場の変化をサブマイクロスケールと原子スケールで解明する。 さらに、試料表面の電荷分布状態、電荷移動に伴うポテンシャルの変化や電子状態を高感度に観測する。そこで応力歪場の変化がどのように表面原子配列や弾性状態に影響を与え、電荷秩序に変化をもたらすのか観測する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、作製予定であった応力印加型特殊電子顕微鏡ホルダーであるが、その設計に時間を要したため、現在まだ作製途中の段階である。そのために必要な作製部材の一部の購入、製作費が未使用となっているため次年度使用額が発生している。 応力印加型特殊電子顕微鏡用ホルダー作製に必要な一部の部材の購入費、製作費に充てる。
|
Research Products
(5 results)