2013 Fiscal Year Research-status Report
スタック型ナノ触媒を用いた低級アルカン選択酸化触媒の開発
Project/Area Number |
25600025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山田 裕介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30358270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 選択酸化 / 低級アルカン / 複合化 / LB膜製造 / 芳香族酸化 / エポキシ化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、低温で低級アルカン類を酸素化しアルコールまたはエポキシドの合成を行うための触媒を得ることである。本目的を達成するために、低級アルカン類の酸化的脱水素を低温で行うことができる触媒と、アルケンの水和あるいはエポキシ化反応に有効なナノ粒子触媒を複合化する。本年度は、多孔性のシリカアルミナの細孔内部に単核マンガン錯体を担持したナノ粒子触媒を調製し、過酸化水素を酸化剤とする選択酸化反応の開発に取り組んだ。その結果、室温常圧という温和な条件下でアルケンの選択酸化が可能であることを見出した。具体的には、シクロヘキセンのエポキシ化に成功した。さらに、この触媒は、難易度が高い芳香族化合物のベンジル位の酸化を行うことができ、トルエン誘導体を酸化することでベンジルアルコールやベンズアルデヒドの誘導体を得ることにも成功している。また、芳香族のC-Hを酸化することもでき、ベンゼン誘導体を水酸化することでフェノール誘導体を得ることにも成功した。次年度には、本研究の主目的であるアルカンの選択酸化を行うため、アルカンからアルケンへの酸化的な脱水素触媒の活性向上を目指す。具体的には、シクロヘキサンの酸化的脱水素反応によりシクロヘキセンを得ることが出来る触媒の活性向上を目指す。見出された触媒を単核マンガン錯体担持ナノ粒子触媒と組み合わせて用いることで、本年度に導入したLB膜製造装置によるスタック型構造の複合ナノ粒子触媒を調製し、その構造の有効性についても実証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過酸化水素を用いてシクロヘキセンを選択酸化し、シクロヘキセンオキシドを得るための触媒を得ることに既に成功している。今後、低級アルカン類からオレフィン類を生成させることができる触媒と組み合わせることで、低級アルカン類の選択酸化触媒が開発できる可能性が十分に示されている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、シクロヘキセンの脱水素反応を、低温で行うことが出来る触媒の探索を行っている。これは、高温で反応を行うと、エポキシドが分解または重合してしまい、目的化合物への選択性が低下するためである。脱水素触媒と選択酸化触媒の複合化手法の開発とあわせて脱水素触媒の高性能化に注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
多孔性金属酸化物などの触媒を調製する際に使用するオートクレーブ(一式20万円)を4セット購入する予定であった。しかし、前年度に終了した他プロジェクトで使用していたものが、そのまま利用可能であったため、購入を見送ったため。 オートクレーブは備品ではあるが、経年劣化する消耗品であり、劣化して爆発事故が起こると大惨事に繋がる。そのため、今年度中に買い替える。
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