2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25600033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
梶 貴博 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所 ナノICT研究室, 研究員 (40573134)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機ナノ材料 / テラヘルツ分光 |
Research Abstract |
本研究では、結晶の格子振動の情報を取得できるテラヘルツ分光法を、有機ナノ材料や有機ナノ結晶へ適用する新規な研究を提案し、有機ナノ材料のナノサイズ化に起因した物性の解明を行う。また、時間分解蛍光測定も合わせて行うことで、有機ナノ材料における励起子の挙動と格子振動の関係を明らかにする。当該年度は、以下のような内容で研究を進めた。有機ナノ材料のテラヘルツ分光測定を実現するための予備的な実験として、フーリエ変換型テラヘルツ分光装置および時間領域テラヘルツ分光装置を用い、ペリレンビスイミド誘導体の粉末をペレット状にした試料について測定を行った。その結果、テラヘルツ分光測定には、2-4mg/cm2程度のサンプル量が必要であることが分かった。また、再沈殿法により有機ナノ結晶の合成を行ったが、密度勾配遠心分離法によるナノ結晶の分画によってサイズが制御されたナノ結晶をミリグラムオーダーで得ることは、現在の実験設備では容易でないことが分かった。そのため、現在のところ、有機ナノ結晶のテラヘルツ分光測定の実施には至っていない。サイズが制御された有機ナノ結晶を基板上に高密度に作製する手法として、シリコン基板上への有機ナノ結晶のエピタキシャル成長の利用を新たに検討している。一方、微小量のサンプルのテラヘルツ分光を可能にするためには、テラヘルツ波を微小材料へ効率良く吸収させる工夫が重要となる。この課題を解決するため、プラズモニックナノアンテナを用いた表面増強テラヘルツ分光法の開発を新たに検討している。また、有機ナノ材料における励起子挙動を調査する目的で、時間相関単一光子計数による蛍光寿命測定装置の構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたように、再沈殿法を用いることで、サイズが制御されたナノ結晶をテラヘルツ分光測定が可能となるサンプル量であるミリグラムオーダーで得ることは、現在の実験設備では容易でないことが分かった。そのために、有機ナノ材料のテラヘルツ分光の実施には現在至っておらず、計画よりやや遅れているといえる。一方、フーリエ変換型テラヘルツ分光装置および時間領域テラヘルツ分光装置、時間相関単一光子計数による蛍光寿命測定装置が利用できる環境を当該年度にほぼ整備することができた。そのため、材料が合成でき次第、測定を進めることができる状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」でも述べたように、サイズが制御された有機ナノ結晶を取得する方法として、シリコン基板上へ有機ナノ結晶をエピタキシャル成長により作製する手法を現在検討している。結晶の成長時間を制御することで、有機ナノ結晶のサイズを制御できることが期待でき、ナノ結晶のサイズとテラヘルツ吸収特性の関係を詳細に調査できると考えられる。一方、より微小量のサンプルのテラヘルツ分光を可能にするため、プラズモニックナノアンテナを用いた表面増強テラヘルツ分光法の開発を新たに検討している。集光光学系の利用とプラズモニックナノアンテナを用いることで、サンプル量を最小限としたテラヘルツ分光が実現すると期待できる。
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