2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25600035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内田 努 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70356575)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 表面・界面物性 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 |
Research Abstract |
本研究は、1ミクロン以下の微細気泡(NB)の産業利用のために、NBが充分な寿命を持っていることを確認し、その寿命を延ばす要因をNBとその周囲の溶質の物性計測と形態学的観察から明らかにすることを目的とする。平成25年度は、基準となる試料作成および計測技術の確立を目指し、以下の項目について実施した。 I. 新規ミクロスコピック計測: 純水及び酸素からNB含有水溶液を生成し、凍結割断用の試料を作成するまでの時間を変化させながら作成した。NB含有水溶液作成後0~7日後に、水溶液試料の一部を液体窒素雰囲気下で急速凍結し、低温・高真空条件下にて割断、白金と炭素を蒸着させることで電子顕微鏡観測用レプリカを作成した。作成したレプリカ試料を電子顕微鏡にて観察した結果、500nm以下の円形~楕円形の穴が多く観察された。NBを含有しない純水を用いたコントロール試料ではこのような穴はほとんど観察されないことから、この穴が酸素NBに対応するものと判断した。作成後0~1日後の試料に比べ、4日以上たった水溶液の試料からはNBの含有量が少なくなっていることが観察され、純水中での酸素NBの寿命は数日程度であることが示唆された。 II. 従来型マクロスコピック計測: Iで作成した試料の一部を生成直後より光散乱法にて測定し、水溶液試料中の気泡の量や大きさの分布の経時変化を観測した。気泡の大きさ分布とレプリカの電子顕微鏡観察で測定された気泡分布等とを比較して、新規計測法と従来型計測法による定量計測結果の整合性の確認と、試料の作成条件と気泡の安定性との関係とを調べた。その結果、I.で開発した電子顕微鏡画像から得られる情報は、従来用いられている光散乱測定と同程度のデータが得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで純水の凍結割断レプリカの作成は、水の界面張力が大きいため困難な技術であった。本年度はその作成技術の開発を中心に進め、再現性良く電子顕微鏡像からNBの分布状況を観測することができるようになった。来年度に行う塩水溶液を用いたNB生成とその凍結割断レプリカ観察についても予備実験を実施し、研究準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、平成26年度は塩等を含む水溶液中でのNB形成や寿命について調べ、溶質の種類や量によるNBの形成や寿命への影響について検討を行う予定。研究協力先との連携により、来年度も試料生成・マクロスコピック計測等について協力を得られることになっている。来年度は研究室の移動による研究活動の中断や、研究協力者(大学院生等)の確保が難しい場合が想定されるが、検討するパラメータを絞り込むことによって効率的な研究推進を検討していく。
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