2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ結晶組織制御による省資源・低環境負荷型Fe基硬磁性合金の創製
Project/Area Number |
25600037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 彰宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30315642)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属物性 / 半硬質磁性 / 組織制御 / 粒成長 |
Research Abstract |
高飽和磁束密度(Bs)を発現し得るFe濃度85at%近傍のFeSiBPCu合金で、尚且つ、加熱結晶化で均質なナノ結晶組織を得るために、ヘテロアモルファス構造を有する組成選択が必要である。これまでに、85at%の高Fe濃度FeSiBPCu合金において急冷アモルファス組織中に3nm以下のα-Feナノクラスター(核)を高密度に分散させ、これを核生成サイトとして利用することにより、10~20nm径の均質なα-Feナノ結晶組織を有する合金を開発しており、この優れた軟磁性特性を有するFe85Si2B8P4Cu1合金を出発合金組成として、ヘテロアモルファス構造が生成される組成範囲を探索した。同時に、得られたFeSiBPCu合金アモルファスリボンを用いて種々の熱処理温度による保磁力(Hc)の変化を調査した結果、最大で約4~5000 A/mにまで増加させることが可能であることが明らかとなった。一方で、硼化物相の析出により飽和磁束密度が低下し最大磁気エネルギー積((BH)max)の観点からはFeSiBPCu合金の熱処理による保磁力の増加だけでは不十分であることも同時に明らかとなったため、Fe元素の一部をPt元素に置換した新たな合金組成についても組成探査を行った。その結果、Fe75.3Pt8B12P4Cu0.7組成において比較的安定的にアモルファスリボンの作製が可能であることを明らかにした。またこれらの周辺組成においてもアモルファスと微細結晶の混相状態のリボン状試料を作製することに成功した。現在、これらの熱処理による組織変化を解析中であり、この組織制御が可能となればさらに高い保磁力を有する硬磁性合金が作製できる可能性が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はアモルファス化させることが可能なFeSiBPCu合金での硬質化を目指していたが、Fe濃度85at%近傍のFeSiBPCu合金での熱処理による硬質化については磁気エネルギーの観点から不十分であることが明らかとなった。一方で、優れた硬質磁性の発現が期待されるFePtBPCu組成において、早期にアモルファス化が可能な組成探査に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度にアモルファス化に成功したFe75.3Pt8B12P4Cu0.7組成およびアモルファスと微細結晶の混相組織であるFePtBPCuリボン材において熱処理による高飽和磁束密度(Bs)、残留磁束密度(Br)、保磁力(Hc)と最大磁気エネルギー積((BH)max)を評価し、最適熱処理条件を明らかにする。またそれらと内部組織構造の関係性についてXRDおよびTEM観察により詳細に明らかにすることで、半硬質磁性の発現およびそのメカニズム解明に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
FeSiBPCu合金を用いて熱処理のみにより半硬質磁性を引き出すことができなかったため、詳細な磁気特性調査まで至らなかったため。 優れた半硬質磁気特性の発現が期待できるL10構造を有する組織を析出させることを目的としたFePtSiBPCu合金のアモルファス化に成功したため、これらの合金の組成探査を行う予定にしており、比較的高価なPt元素を購入する予定である。
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